メロンパン=サンライズ=コッペパン…地域で異なる呼称、メロンパンの世界

ふわふわの食感やほんのりと広がる甘みがおいしいメロンパン。ところで、同じ「メロンパン」でも、実は形状や食感が異なる「メロンパン」が存在することはご存知でしょうか。メロンパンの普及と啓発に尽力する任意団体「日本メロンパン協会」に、メロンパンについて詳しく教えてもらいました。

そもそも「メロンパン」とは?

皆さんは「メロンパン」と聞くとどんなパンを思い浮かべますか。メロンパンは日本発祥の菓子パンですが、明確な定義がなく、そのルーツもはっきりしておらず様々な説があるようです。また同じ「メロンパン」でも、出身地域によってイメージする形状(定義)が異なるという面白さも特徴です。

2つの「メロンパン」

日本において流通数が多いメロンパンは、丸くてパンの表面がサクサクのクッキー生地で覆われ、格子模様があるパンです。しかし京都や神戸、広島など西日本の一部地域では、紡錘形(ラグビーボールのような形)で白あん入りのパンがメロンパンと呼ばれます。

こちらが流通数の多いメロンパン(出典元: Instagram @melonpan_mayuka)

こちらがラグビーボール形のメロンパン(出典元: Instagram @melonpan_mayuka)

「どちらが一般的かと言われると、流通数的にマジョリティなのは丸いメロンパンですが、日本メロンパン協会では多数だからといって一般的とは思っていません。メロンパンの食感と同じく、定義が"ふわっと"していて、"丸形"や"ラグビーボール形"など多様性があることこそがメロンパンの面白さです」(日本メロンパン協会 広報担当 前川泰徳さん)。

明確な史実としては残っていないものの、メロンパンについて研究されていた東嶋和子さん著の「メロンパンの真実」によると、大正~昭和初期には、すでに「メロンパン」と呼ばれているパンが存在したという説もあるようです。戦後の復興から現在に至るまでに、様々な姿の「メロンパン」が生まれてきたと考えられるといいます。

「メロンパン」=「サンライズ」=「コッペパン」??

前述の通り、西日本の一部地域では紡錘形で白あん入りのメロンパンが存在します。実はこれらの地域にも、丸形にクッキー生地のパン(流通数の多いメロンパン)は存在し、「サンライズ」と呼ばれます。つまり、同地域ではメロンパンと呼ばれるパンが、2種類共存しているというわけです。ちなみに紡錘形のメロンパンは西日本全体に存在するわけではなく、西日本の一部地域だけに存在します。これもまた不思議ですね。

さらには、広島県呉市では「サンライズ」を「コッペパン」と呼ぶそう。何だかややこしくなってきました。つまり、地域によって「メロンパン」「サンライズ」「コッペパン」と名前を変えて存在するのがメロンパンなのです。ちなみに、この地域ではいわゆるコッペパンをどう呼ぶのかというと、「給食のパン」と呼ぶそう。確かに、これなら間違いそうにない……かも!?

同じ「メロンパン」でも、思い浮かべているパンの形と味が違うかもしれないとは、何とも面白いですね。周囲の人とメロンパンの話をするときは、相手がどの地域出身か理解したうえで話さないと認識違いが起きてしまうかも。メロンパン、奥が深いです。

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