重曹の成分は? 得意な汚れは?? 重曹の特徴を掃除のプロが解説

100円ショップやスーパー等で手軽に手に入れることができる「重曹」。料理に使うふくらし粉や、薬の成分として使わるなど身近な素材です。最近では「万能な掃除道具」というイメージも持たれていますが、実は重曹を掃除に使う場合、得意な場所と不得意な場所があるのはご存知でしょうか。今回は、ハウスキーピングコーディネーターの筆者おそうじペコが、掃除に役立つ重曹特徴について解説します。

目次

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重曹の主成分は? 間違って認識しがちな重曹の特徴とは??

「重曹」とは、炭酸水素ナトリウムのことです。皆さんご存知のベーキングパウダー(ふくらし粉)の主成分となります。そして、重曹掃除は定着してきた感がありますが、重曹は洗剤として開発されたものではありません。なので、洗剤として万能というわけではありません。重曹の特性を把握して使うことで、効率よく掃除が行えます。 場違いやすいポイントをチェックしておきましょう。

1:「重曹は粉なので水に溶けやすい」は間違い!

重曹の粒子はとても細かいのですが、水に溶けにくい性質があります。上の画像のようにガラスのボウルに重曹と水を入れて混ぜてみると、しっかり撹拌して溶かしたつもりでも底に溶け残りが残ってしまいます。

また重曹は粒子が残りやすいという短所も。上の画像の左側は、重曹水をスプレーして1度拭きした後。右側は3度拭きした後です。3度拭きしてもわずかに白いあとが残っていることが分かります。拭いた直後はきれいでも、しばらくすると重曹が残って白く浮き出てしまいます。なので、重曹を溶かしてスプレー掃除すると、何度も何度も仕上げ拭きをすることになってしまいます。これでは手間ですよね。このため基本的には、水で洗い流せる場所での使用がおすすめです。

2:「重曹は油汚れに万能」ではないことも

家の中での気になる汚れの一つ、キッチンの「油汚れ」。油汚れは、アルカリ性の洗剤を使うと落とすことができます。確かに重曹はアルカリ性の性質を持っているため、油汚れに効果がありますが、アルカリ度はPH8.2(中性はPH7)と少し低めです。同じく油汚れに効果のあるセスキ炭酸ソーダはPH9.8、アルカリ電解水はPH12.5なので、それらに比べると、ごく弱いアルカリ性だとわかります。そのためしつこい油汚れにはあまり効果が期待できません。ただし、重曹は湯に溶かし加熱することでアルカリ度がアップします。しつこい油汚れには、重曹をそのまま使用するのではなく、熱を加えて使いましょう。

▼【洗剤】酸性・中性・アルカリ性の違いはなに?
何度洗っても汚れが落ちないときは、洗剤の種類を確認してみましょう。洗剤には酸性・中性・アルカリ性の3種類があり、得意な汚れが異なります。それぞれの洗剤の特徴をチェックして普段の掃除に役立ててくださいね。

【洗剤の解説】酸性・中性・アルカリ性はどう違う?性質別の得意な汚れとは

洗濯や掃除で欠かせない洗剤。どれも汚れを落としてくれる役割を果たしますが、実は「酸性」「中性」「アルカリ性」のものがあります。それぞれの特徴や得意な汚れ、苦手な汚れを知り、気持ちのいい洗濯・掃除に役立てていきましょう。

3:「どんな場所も掃除できる」は間違い!

重曹はアルカリ性なので、アルカリに反応してしまうアルミ、銅、天然繊維、皮革、大理石等には、変質変化が起こってしまうため使用できません。使えないものに注意して重曹掃除をしましょう。

魅力がたくさん「重曹の長所」

重曹には魅力もたくさん。重曹の得意な掃除場所についても知っておきましょう。重曹の粒子はとても細かいため、汚れの中に入りしっかり掻き出し、掃除箇所も傷つけにくいです。重曹だからこそできる長所をご紹介します。

重曹の長所1: さまざまな形状で使うことができる

重曹は水を加えると、重曹水やペースト、クレンザーなど、様々な形状で使用することができます。

筆者のおすすめは、「重曹ペースト」。「重曹3:水1」程度の割合でまぜると、ペースト状になります。汚れにしっかりと付着して成分を浸透させることができるため、液体や粉のままよりもより洗剤効果が高まります。

重曹の長所2: 吸湿防臭効果

重曹は弱アルカリ性。生ゴミや汗、皮脂の匂いなどの酸性の臭いを中和する防臭効果があります。粒子の間に水分を取り込むため、吸湿効果もあります。吸湿防臭剤として使用することもできます。

重曹の長所3: 熱を加えるとアルカリ度が上がる

アルカリ度があまり高くない重曹ですが、熱を加えることでPH11.2の「炭酸ソーダ」に変質し、アルカリ度が上がるという面白い特性があります。これでしつこい油汚れに対応することが可能です。上の画像のPH試験紙をご覧ください。水に溶かした重曹水はPH8.2の弱アルカリ性です。

続いて、上の画像のPH試験紙は同じ量の重曹を100度の熱湯に溶かしたものです。PH10程度の色となり、アルカリ度が上がっていることが分かります。油汚れに対する効果も上がっているということです。しつこい油汚れを落とす場合には、重曹を加えた湯で煮洗いすると良いでしょう。

万能洗剤と思われがちな重曹ですが、得意なことと苦手なことがあるのがおわかりいただけたでしょうか。「重曹を使ってみたけどあまり効果がなかった…」と思われている方は、今一度特徴を確認してトライしてみてください。重曹の持つ素朴な力にきっと魅了されるはずです。

※重曹はアルカリ性なので使用の際はゴム手袋を着用してください

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