家族で防災--避難生活で増える虫歯の対策とポリ袋やラップの意外な使用法

地震や台風、豪雨など、いつ何時訪れるかわからない自然災害。一般的な災害対策に関する知識やグッズは出回っていますが、子どもを持つママ・パパだからこそ困ることや、用意しておかなければいけないものもあります。ママが知っておくべき「災害時に困ること」とその対策について、防災アドバイザーの岡部梨恵子さんが解説します。

目次

避難所では虫歯の子が増える

家屋に倒壊の危険性があるなどの場合、避難所で生活することになります。この避難所で、子どもに多く発生するのが虫歯。退屈しがちな避難所での生活では、子どもを静かにさせておくためにお菓子をたくさん与えてしまう親が多くなるそうです。また水場まで距離があり、歯磨きもさぼりがちになってしまうことが多いので、虫歯になる子どもが余計に増えるといいます。

このような虫歯対策として、「デンタルフロス」や「ペーパー歯磨き」を持っておきましょう。水なしで歯が磨けるペーパー歯磨きは避難中に重宝します。また歯石はデンタルフロスで取り除き、虫歯予防をしておきましょう。もしこの2つの準備が無い場合は、「ガーゼを濡らして拭く」「キシリトール入りガムを噛む」などの方法もおすすめです。

「非常用リュック」に買い足し

災害対策として、防災アイテムが一通り入って販売されている「非常用リュック」を買い、満足してしまっていませんか。販売されている非常用リュックには一般的なグッズは入っていますが、中身を確認したうえで、自分の家族構成や状況で必要なものを別途追加しておくことが大切です。

手や口を汚すことの多い小さい子どもがいるママは、ウェットティッシュを多めに用意しておきましょう。一般に販売されている非常用リュックには意外と入っていないアイテムの一つです。

おむつのにおい対策は?

家のトイレが流れなくなってしまったら、非常用トイレなどで用を足すことになりますが、困るのがにおい対策。普通のスーパーなどの買い物袋だと、何重にしてもにおいの漏れを完全に防ぐことはできません。また、幼い子どもがいるママは、使用済みのおむつのにおいも同じく対策をしなければなりません。

この悩みに対して、医療用にも使用されている素材で作られた防臭袋を使えば、においをほぼ完全に漏れなくすることが可能です。

クリロン化成「おむつが臭わない袋BOSベビー用」参考小売価格170円(税抜)

温かい手作りごはんで心にゆとりを

被災して普段と違う生活をおくると、どうしてもストレスがたまってしまいます。ストレスを緩和するためには、温かい家庭の味を食べるのが一番。そのためにも、カセットコンロとカセットボンベは絶対に備蓄しておきましょう。

カセットボンベは、1日1本半くらいの使用が目安です。1週間ほどライフラインの回復がないことを想定すると、7~10本を持っておくと良いでしょう。なお、カセットコンロとカセットボンベは同じメーカーのものにしましょう。別々のメーカーの製品を組み合わせて使っていると、万が一爆発事故などにあった時に賠償の対象にならない可能性があります。

また、食事作りは「ポリ袋調理」が便利です。これは食材をポリ袋に入れて鍋でボイルするという調理法。袋を使用するので洗い物も少なくなり、また食べる際も袋ごとつかんで口元に持ってこれば手を汚さずに食べられます。離乳食も作れますよ。ポリ袋は、100円ショップでも売っています。なお、必ず「高密度ポリエチレン」製の袋を買うようにしてください。低密度ポリエチレン製は、熱に弱いので調理はひかえましょう。

ポリ袋調理の様子(岡部さんより提供)

非常用の持ち出し袋は耐火・難燃性を

子どもと一緒に避難するとき、手で持たなくてはいけないバッグに非常用品を入れていると、子どもと手がつなげません。また非常用品の入れすぎや、袋自体が重いと逃げるスピードが落ちてしまいます。非常用持ち出し袋は、耐火・難燃性の軽いリュックを利用するようにしましょう。おんぶや抱っこをする場合も、背面にリュックを背負い、前に抱っこひもなどで子どもを抱える形で避難できます。

アイリスオーヤマ「非常用持出袋」1,695円(税抜)

絶対持っておくべきはラップ

非常時に使えるアイテムとして、必ず持っておきたいのはラップ。皿の上に被せると洗い物を少なくできるほか、けがをしたときはガーゼの上から巻けば包帯代わりにもなります。また、引っ張り出すとロープにもなるので、避難所などで洗濯ものを干す場所に困った際にも便利です。さらに、身体に巻き付ければ防寒対策にも。ただし、安価なラップは経年劣化してはがれにくくなってしまうので、ある程度名前の通ったものを使用しましょう。

ただでさえパニックになる災害時。子どもがいると思わぬアクシデントが起こり、ママもよりパニックになりかねません。子どもがいるからこそ起こりうる事態を、ある程度想定しておくと、万が一の際に適切な家族を守るための対応ができる可能性が高まります。必要なアイテムをしっかり準備しておきましょう。

監修: 岡部梨恵子

今回話を聞いた先生

防災アドバイザー。東京大学生産技術研究所 RC77 防災研究会会員。企業、労働組合・社会福祉協議会、小学校PTA、行政のイベント、文化講演会等で講演活動を全国で行う。整理収納アドバイザーの資格も持つ、防災備蓄、片づけのプロフェショナル。

公式サイト:「岡部梨恵子HP」

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