ちふれ化粧品"高品質なのに低価格"が叶うワケーー創業当時は苦戦したことも

品質のよい商品でありながら低価格、そして全国で購入できる「ちふれ」。愛用者も多いのではないでしょうか。今では元祖実力派プチプラコスメブランドとして確固たる地位を築いているちふれの魅力や、買いやすい価格の理由に迫ります。

目次

ちふれの誕生秘話

コスメデビューしたばかりの10代からシニアまで、幅広い世代の人が使う化粧品ブランド、ちふれ。プチプラコスメ人気をけん引する存在と言っても過言ではありません。今年はブランド誕生50周年のメモリアルイヤーということもあり、限定デザインボトル付の化粧水詰替用などの限定商品や、好きな商品に投票できる「ちふれ総選挙」を企画したりと盛り上がっています。そんなブランド、ちふれの歴史をまずはひも解いてみましょう。50年前の創業者の想いが、"高品質なのに低価格"の礎となっています。

はじまりは、欧米視察で出逢った1ドル化粧品

ちふれ化粧品誕生のきっかけは1959年。欧米視察で訪れたアメリカで化粧品が1ドルで販売されていることに衝撃を受けた創業者が、帰国後、100円で化粧品を販売することにチャレンジしたことがきっかけです。当時の日本は初任給が平均8,400円。そんな中、化粧品の多くは1,000円前後の価格設定であり、贅沢品でした。

当時の商品棚 画像提供: ちふれホールディングス株式会社

開発に成功し、「100円化粧品」として世に送り出したのはその3年後。しかし「安かろう悪かろう」という固定概念を持たれることが多く、なかなか受け入れてもらえなかったとか。そんな中、人気情報誌「暮しの手帖」の企画で高評価を得たことを契機に、売り上げがぐんぐん伸びたそうです。

ちふれ化粧品誕生! 名前の由来は

その後、「高品質な化粧品が100円で売られている」ということを知った、当時日本最大級の消費者団体のひとつであった「全国地域婦人団体連絡協議会」と提携することになり、会員向けに販売を開始。当時で約600万人の会員がこぞって購入する人気商品となりました。今からちょうど50年前の1968年のことです。

ちなみに「ちふれ化粧品」という名前の由来は、会員向けに販売した化粧品が「地婦連化粧品」だったことから。「ちふれん」から「ん」を取って現在に至るそうです。

「適正価格」をモットーに

ちふれといえば、「低価格」というイメージを持つ人も多いかと思いますが、ちふれ化粧品ではただの「低価格」ではなく「適正価格」と考えているそうです。ちふれでは、「高品質を追求しながら、人件費や開発費、製造コスト、宣伝広告費など会社を健全に経営するために必要な適正利潤は得ても、それ以上の過大な利潤は求めない。多くの方がお買い求めやすい適正な価格であるよう取り組んでいる」とのこと。薄いフィルム状のシュリンクの包みにすることで過剰包装にならないようにしたり、製品の金型をなるべく統一することで製造費を極力カットするほか、問屋を通さないことで中間マージンをおさえるなど、できる限り価格を抑えて販売できるよう、さまざまな工夫を行っています。ちなみに、広報宣伝費用も価格には反映していないそうです。

「化粧品は日用品であると同時に嗜好品でもあります。ちふれブランドは後者の嗜好品の役割よりも、日常にやさしく寄り添うことを大切にしているといえるかもしれません。手に取ったときに高揚感を感じるような美しいパッケージデザイン、心安らぐ香りなども素敵だと思いますが、よりよい品質のものをできる限り低価格で提供するためにそうしています」(ちふれホールディングス 広報部部長 本井沙織さん)。

詰め替えも「適正価格」のために誕生

ちふれには詰め替えて使えるアイテムが多数ありますが、じつはこの詰め替え化粧品も「適正価格」へのこだわりから誕生したものだったそうです。

オイルショックの時代に、原料高から値上げを余儀なくされる企業が多い中、同社では徹底的なコストカットで品質と価格を維持。その際に価格をおさえるために試行錯誤して誕生したのが、当時としては斬新な「詰め替える」という発想でした。今では多くのブランドが取り入れている詰め替えですが、同社では「適正価格」を貫くための手段だったということです。

なお、詰替用はスキンケアは90~100円、ファンデーション、パウダーは300円、ヘアケアは100~200円、本体よりもリーズナブルな価格設定となっています。

全成分表記を徹底、配合量まで! 

画像提供: ちふれホールディングス株式会社

ちふれの特徴の1つに「成分・分量表示」もあります。パッケージ裏や外箱に明記されていることはもちろん、WEBサイトにもすべて記載。しかも、配合量まで公開しているのは実はとてもすごいこと。なぜならば、レシピを公開しているようなものであり、その配合を見て、ある意味、誰かが同じ製品をつくることすらできてしまうからです。さらに驚くべきことは、この成分表示は、ブランド誕生時からずっと行っていること。今では化粧品は全成分表示が義務化されていますが、ちふれでは義務化される33年前から行っており、その時代はとても勇気のいる決断だったそうです。そこまでして全成分表示をする理由は、どこにあるのでしょうか。

「化粧品は直接肌につけるものなので、食べ物と同じくらい安心感が必要です。企業努力により、コストカットをして低価格に抑えている分、その価格から不安を感じてしまう人もいるかもしれません。私たちは全成分表記は安心してお買い求めいただくために大切なことだととらえています」(ちふれホールディングス 広報部 長野恵実さん)。

肌がデリケートな人が苦手とする成分が入っていないかどうかを判断する材料にもなり、成分について詳しく学ぶと、配合成分に対してのコスパの高さもよくわかるのだとか。

また、ボトルの底には製造年月日を記す5桁の数字も印字されています。化粧品はある程度時間がたつと劣化してしまうもの。いつ作られたものなのかがわかるのは、安心材料の1つです。

詰替用にも成分表記が。製造記号の「18052」は2018年5月の2回目の製造でつくられたという意味

きれいになりたいという思いは、すべての女性に共通します。そのために品質の良い化粧品を、誰もが手に入れやすい価格で販売したい。それが50年前に創業者が志したことでした。その思いは今も受け継がれ、高品質な化粧品の「適正価格」での販売を貫いています。そんなことを知ると、ますますちふれのファンになりますね。

美容
ランキング

おすすめ記事

全体ランキング