【食材別】冷凍焼けした食材をおいしく解凍&調理するコツ、3つの防止策、冷凍やけの原因

食材を長期間冷凍保存することで起きてしまう冷凍焼け。そのまま調理して食べることはできますが、味が落ちてしまったり、イヤな臭いがついてしまったりと、料理に使うことに抵抗を覚える方も多いのではないでしょうか。この記事では、冷凍焼けの原因と防止方法に加え、食材別に冷凍焼けした食材の解凍&調理方法を解説します。

目次

冷凍焼けはなぜ起こる?原因と防止方法を解説

食材の味が落ち、変色や臭いも気になる冷凍焼けはできれば避けたいもの。まずは冷凍焼けが起こる原因と、基本的な防止方法を理解しておきましょう。

冷凍焼けの原因は「乾燥」と「酸化」

冷凍焼けの原因は、食材の乾燥と酸化です。冷凍庫内で長期間保存をすると、食材に含まれる凍った水分が水蒸気に変化し、徐々に食材が乾燥していきます。食材の中の水分がなくなると、その隙間に空気が入り込み、酸化が進行します。この一連の流れによって起こされているのが冷凍焼けなのです。冷凍焼けによって風味や食感が落ちるのも、食材の酸化が原因です。

冷凍焼けを防ぐための3つのポイント

食材の冷凍焼けを防ぐには、次の3つのポイントを押さえて保存をしましょう。

1. できるだけ空気に触れさせないようにする

乾燥と酸化を防ぐには、できるだけ空気に触れさせないことが大切です。保存時には食材をラップで包み、さらにジップロックなどのチャック付き保存袋に入れて密封すると品質が落ちづらくなります。

2. 冷凍庫内の温度を上昇させない

家庭用の冷凍庫は業務用ほど大きくないので、開閉が多いとそれだけで冷凍庫内の温度が上がってしまいます。冷凍庫内が2段になっている場合は、できるだけ開閉の少ない段へ、もしくは庫内の最奥に閉まってください。開閉によって庫内の温度が上昇すると、凍っていた食材の水分が液体になり、劣化に繋がります。また、温かいものを庫内に入れても温度は上がるので、料理を冷凍する際も必ず冷ましてから冷凍庫へ入れるようにしましょう。

3. 急速冷凍させる

急速冷凍すると氷の結晶が小さくなるため食材の細胞を破壊せず、鮮度を保ったまま保存できます。冷蔵庫に急速冷凍機能がなければ、アルミホイルを食材に巻いたり、アルミトレイに乗せて冷凍するのも効果的です。

【食材別】冷凍焼けした食べ物の正しい解凍&調理方法

では、もし冷凍焼けが起こった場合、食材はどのように解凍・調理したら美味しく食べられるでしょうか?ここでは食材ごとの解凍法と、おすすめの調理方法を紹介します。

肉(牛肉、豚肉)

冷凍焼けした肉は、浸透圧を利用して抜けた水分を肉に戻すことで、本来の柔らかさを取り戻すことができます。

解凍方法

  1. 冷凍焼けした肉の重さに対して同量の水と3%の塩をポリ袋に入れ、塩水をつくる(肉100gの場合、水100ml、塩3g)。
  2. 塩水の中に冷凍焼けした肉を入れる。
  3. ポリ袋の口を縛り、2~3日冷蔵庫に入れておく。

冷凍焼けした肉は、酢を使ったメニューや煮込み料理でジューシーに

冷凍焼けした肉は独特の臭いがありますが、調理時にお酢を使うと臭いが取れます。その効果を活かして、市販の穀物酢を使ったさっぱり煮や甘酢煮を作るとおいしくいただけます。また、カレーやシチューに使うと煮込むことで柔らかくなり、冷凍焼け独特のパサつきも気になりにくくなります。

▼おすすめの解凍方法はどれ?
流水やお湯、電子レンジなどお肉を解凍する方法はさまざま。冷凍肉の解凍方法7つを「解凍時間」「ドリップ量「解凍ムラ」の3つの項目で評価します。

一番速く・美味しく解凍できるのは?冷凍肉の解凍方法7つを全部試して検証!

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魚介

魚介の場合、冷凍焼けした食材の状態を回復させるのは難しいため、冷凍焼けを防ぐ方法で保存することが大切です。その上で、冷凍魚はできるだけドリップ(食材の旨味成分)を出さずに解凍すると美味しさを保つことができます。

一般的な冷凍魚であれば流水解凍(ボウルなどに水を張り、保存袋に入れたまま食材を浸し、上から水を流しながら解凍する方法)、エビであれば氷水解凍(ボウルなどに氷水を張り、保存袋に入れたまま食材を沈めて解凍する方法)をするのがよいでしょう。

また、ドリップを出さずに短時間で解凍でき、解凍ムラも少ない温塩水解凍という方法もあります。マグロやカツオなど、海水魚の赤身魚を解凍する際におすすめのやり方です。

解凍方法

  1. 約40℃のお湯を用意し、お湯の量に対して3%の塩を加える。
  2. 用意した温塩水に、冷凍魚を直接漬ける。
  3. 分後に魚を取り出し、キッチンペーパーで水分をよく拭き取る。
  4. 湿らせたキッチンペーパーで魚を包み、冷蔵庫内に約1時間おく。

冷凍焼けした魚は、下味をしっかりつける料理がおすすめ

冷凍焼けした魚を調理する際は、下味をしっかりつける料理を選んだほうがよいでしょう。

たとえば、カルパッチョは食材から出た水分の臭みを、ソースに含まれる果汁の酸が和らげてくれます。また、冷凍する前に調味料で味付けしておくと、浸透圧の関係で食材から先に水分が出るので、冷凍焼けが起こりにくくなります。ぶりの照り焼きやサバの味噌煮などは下味冷凍を活かせる料理なので、解凍時にさっと調理できて時短にも繋がりますよ。

野菜

冷凍焼けした野菜は、食材の「火の通りやすさ」によって扱い方を変えるとよいでしょう。

火の通りやすいもの

ねぎやもやしのように、火が通りやすい食材であれば、凍ったまま火にかけて調理して問題ありません。

火が通りにくいもの

にんじんやかぼちゃなど、火の通りにくい野菜の場合は、スープや煮込み料理であれば凍ったまま使用してかまいません。一方、炒め物などに使う場合は、水分が溶け出す前に電子レンジで加熱して解凍します(目安時間:600Wで2分)。

冷凍焼けした野菜は、スープにすれば食感や風味がアップ

カットしたねぎやブロッコリーのような野菜は、スープやクラムチャウダーなどにするのがおすすめです。解凍した野菜自体に味が染み込むので、冷凍焼けによって失われた食感や風味が気にならなくなります。また、きのこ類であればホイル焼きにしたり、たまねぎやにんじんは野菜炒めに活用したりと、火をしっかり通して食べるのがポイントです。

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うどん

冷凍焼けしたうどんは、加熱による解凍がおすすめです。自然解凍すると、解凍の過程で水分を吸って麺がやわらかくなり、うどん本来のコシが損なわれやすくなります。

冷凍した生麺の場合

凍った状態のまま沸騰したお湯でゆがきます。

冷凍したゆで麺の場合

凍ったまま沸騰したお湯でサッとゆがくか、電子レンジで温めます(目安時間:一玉あたり600Wで2分半~3分)。

冷凍焼けしたうどんは、味付けの濃い煮込みうどんがおすすめ

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ごはん

冷凍焼けしたごはんは、そのまま電子レンジで加熱解凍します。解凍途中でお酒を加えることで、冷凍焼け独特の臭みを消し、お酒の水分によってふっくらさを取り戻すことができます。

解凍方法

  1. 600Wで2分温める。
  2. お茶碗一膳分の量に対してお酒を小さじ1をふりかけ、ごはんをほぐす。
  3. 再度、600Wで1分温める(ごはんの状態を見ながら時間は適宜調整する)。

冷凍焼けしたごはんは、チャーハンやオムライスなどで楽しんで

冷凍焼けしたごはんは、チャーハンやオムライスなどご飯自体に濃く味付けをする料理に使うのがおすすめです。また、雑炊やお茶漬けにして水分を多く含ませれば、乾燥して硬くなったごはんがやわらかくなり、食べやすくなります。

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