にんにくは食べすぎるとどうなるの?体に起こる不調や危険性まとめ

ニンニク料理は美味しいけれど、だからといって食べすぎるのは禁物。特に他の野菜やお肉と違って、ニンニクの場合は比較的刺激が強めな食べ物。食べすぎることで臭いだけじゃなく体調不良の原因になることも。ニンニクを食べすぎるとどんな影響があるか、管理栄養士が解説します!

目次

ニンニクが体にもたらす効果とは?

ニンニクには疲労回復、免疫力アップ、美肌作用、アイチエイジング、風邪予防、がん予防、冷え性改善などさまざまな働きをする成分が含まれています。実際、どのような成分が私たちの体にどう作用し、どんなメリットをもたらすのでしょうか。

ニンニクの主成分は、アリイン、アリナーゼ、アリシン、ジアリルジスルフィド、アホエン、アリチアミン、スコルジニン、ゲルマニウム、メチルアリルトリスルフィドなど。カタカナばかりで難しいですが、中でも注目して欲しいのは
・アリイン
・アリシン
・スコルジニン
の3つです。
「アリイン」という物質は他の野菜に比べて群を抜いて多く含まれており、ニンニクを擦り下ろしたり切ったりして傷つけることで、酵素と反応し、「アリシン」に変化します。


「アリシン」はニンニク独特のにおいの元。強烈なにおいですが、嗅いだだけでもじわじわと体温が上昇し、食べた直後から血流や代謝がアップします。また血液がサラサラになり血糖値や血圧改善が期待できます。さらに風邪の原因になる連鎖球菌やブドウ球菌を殺す強力な抗菌作用を持っており、酸化防止作用によるがんの予防、体の免疫力を高める効果もあるといわれています。

また、この細胞はビタミンB1の吸収を高める役割を持っているので、豚肉などビタミンB1を多く含む食材と一緒に食べるとより疲労回復効果やストレスの解消に役立ちます。

「スコルジニン」は「アリシン」を加熱することで生まれる成分です。新陳代謝を活発にする役割を持っており、体内の栄養素の燃焼を活性化させ、エネルギー生産の効率を高める働きがあります。体を温める効果、疲労効果が期待できます。

▼ニンニクに含まれる栄養について管理栄養士が解説

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食べすぎることによる危険性

さまざまな病気や生活習慣病に効果があるニンニクですが、食べすぎは体に悪いということをご存知でしょうか。

ニンニクに含まれる「アリイン」という成分は、ホイル焼きのように丸ごと調理すると、「アリシン」に変化することなく「アリイン」のまま体内に吸収されます。

これが大量に体内へ吸収されると、血中の赤血球の大部分を占めるヘモグロビンが減少します。さらに赤血球を破壊するため、血圧低下、貧血、めまい、嘔吐といった症状を引き起こす原因にもなります。

また殺菌作用の強い「アリシン」は、腸内の悪玉菌だけでなく善玉菌まで殺してしまい、腸内環境を悪化させることで腹痛や下痢、便秘などを引き起こす恐れがあります。刺激の強い成分でもあるので、食べすぎると胃の粘膜や胃壁を荒らすことも。その結果、腸からの栄養素の吸収が妨げられ、ビタミン不足をはじめ、口や皮膚の炎症を引き起こすこともあります。

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「食べすぎ」の基準はある?

めまいや嘔吐、下痢などはあくまでも食べすぎた場合の危険性であり、適量であれば基本的に病気を招くことありません。

適量は個人差がありますが、加熱した場合の目安は1日4片、20g程度。小さい子供やはじめてニンニクを食べる方は念のため2片程度に抑えておきましょう。

アリシンは生で食べると風邪のひきはじめや疲れ気味の時に効果テキメンですが、それゆえに刺激も強くなるので1日2片以内に留めましょう。

過剰摂取の基準は10片以上、50g以上です。美味しいからとついつい食べすぎてしまわないよう、注意してくださいね。

ついつい美味しくて食べすぎてしまった!そんな時どうすればいい?

食べすぎた!と思ったらまずはお水を飲んでください。「アリシン」は水溶性の成分なので、水分を取ることで体から排出しやすくなります。胃腸への刺激を考慮して白湯がおすすめです。
また、善玉菌を守るために乳酸菌を多く含むヨーグルトや納豆、味噌などの発酵食品を摂取しましょう。腸内細菌のバランスを整え、胃腸への刺激も抑えることができます。

吸収を和らげる食べ方はある?

食べすぎを未然に防ぎ、体への負担を和らげて、ニンニクの吸収をおだやかにする食べ方のポイントをご紹介します。

空腹時にいきなりニンニクを食べない

まずは空腹時にニンニクを食べないようにしましょう。胃が空っぽの状態でニンニクを食べると胃の粘膜へダイレクトに刺激が加わり、胃腸が荒れやすくなってしまいます。他の食べ物や飲み物を食べた後に食べるよう心がけましょう。

たんぱく質を多く含む食品との食べ合わせがおすすめ

おすすめの食べ物は乳製品や豆製品、肉や魚といった良質なたんぱく質を多く含むものです。「アリシン」はたんぱく質と結合する性質があるため、一緒に食べることで胃腸への刺激を弱めてくれます。

▼ニンニクを使ったおすすめレシピはこちら

ぶりのガーリックステーキ

ぶり(切り身)、長ねぎ、にんにく、○しょうゆ、○みりん、○酒、バター、サラダ油

調理時間:15分

ズッキーニとえびのガーリック炒め

無頭えび(殻付き)、ズッキーニ、にんにく、○レモン汁、○白ワイン(なければ酒)、○バター、塩・こしょう、オリーブオイル

調理時間:20分

逆にお勧めできない食べ方は?

ニンニクのホイル焼きや醤油漬けなど丸ごと調理されているものは、においがあまり気にならないので、ついつい食べすぎてしまうことがあります。そのため、あらかじめ適量分(加熱するなら4片20g、生なら2片10g程度)のみ用意して、調理すると良いでしょう。
また、生で食べるよりも加熱して食べることをおすすめします。料理の風味や隠し味などに利用すれば、食べすぎを防ぐだけでなく、気になる強いにおいも抑えることができますよ。

適量であれば、ニンニクはスーパーフード

ニンニクを過剰摂取することによる体へのデメリットを解説しましたが、適量を食べれば健康にメリットのあるスーパーフードです。デメリットばかりを気にして食べないのではなく、身体への負担を軽減する上手な食べ方を取り入れて、健康的な食生活を送りましょう。

▼ニンニクが長持ちする保存方法はこちら→「にんにくは冷凍するべき?長期保存方法と時短ワザ、解凍方法まで徹底解説」
▼おいしくなるニンニクの切り方→「にんにくのうま味を引き出す切り方やコツを管理栄養士が解説」

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