【やおきん取材】うまい棒の種類はいくつある?1年未満で販売終了した幻の味も

駄菓子の定番「うまい棒」。子どもの頃の思い出の味として記憶に残っている人も多いはず!味の種類も豊富なイメージがあるうまい棒ですが、これまでどのくらいの種類が発売されてきたかを知っていますか?この記事では、うまい棒の販売元である株式会社やおきんの広報・田中さんへの取材内容をもとに、うまい棒の歴史を振り返ります!

目次

過去に発売されたうまい棒の種類は累計60種類以上!

うまい棒は、株式会社やおきんから1979年に発売開始されたスナック菓子です。言わずと知れた“駄菓子の王様”的な存在感をもつお菓子ですよね。発売から40年以上経っているにもかかわらず、小売価格は1本10円を維持しているからスゴイ!

公式ポータルサイトにも詳しい情報が残っていないフレーバーもあるそうですが、現在までに発売されてきたうまい棒は、なんと60種以上。中には「さきいか」味や「梅おにぎり」味なんてものもあったそう!

これだけたくさんの種類がある駄菓子って、うまい棒の他になかなかありませんよね。これは、子どものお小遣いでも手に取りやすい10円という価格で「自分だけの好きな味を探して欲しい」という企業の願いからくるものだそう。確かに、大人になってからも「うまい棒、どの味が好きだった?」なんて話で盛り上がれるのは、子どもの頃の思い出からくるものですよね。

1番古いうまい棒は1979年発売開始の「ソース」味

1979年、うまい棒がこの世に誕生した時のフレーバーは「ソース」味の一種類。続いてサラミ味・カレー味が発売されました。「ソース」味は1994年にバージョンアップし「とんかつソース」味となり、現在でも食べることができますよ。カレー味は「チキンカレー」となり味や名前をアップデートしつつ販売され続けていたものの、2020年に惜しまれつつ終売となりました。

素朴なイラストがかわいい初代パッケージ(公式ポータルサイトより引用)

発売当初から名前も変えずにレギュラー販売されているのは「サラミ」味だけなのだそうです。おいしさをアップするために時代に合わせて製法やレシピは変わっているものの、長く愛されているフレーバーなんですね。

記録より記憶に残る味!?販売期間1年未満に終わった「マリンビーフ」味

60種以上ものフレーバーがあったうまい棒、全国に流通する駄菓子ゆえに正確なデータはないものの、中には短命に終わったものもあるそうです。

やおきん広報・田中さんのお話では、1982年に発売された「マリンビーフ」味はなかなか世間に受け入れられなかったのだそう。聞きなれない単語に思わず「そ、それはどのような……!?」と尋ねたところ、イカ焼きをステーキに見立てた「イカステーキ」をイメージしたものだと教えていただきました。

イカステーキって、こんな感じ……?(筆者作)

イカのおいしさと牛肉のうまみ、両方のいいとこどりをした逸品だったそうですが、お子さんにはまだ早かったのでしょうか。田中さん曰く「黒歴史とは行かないまでも……なかなか厳しい売れ行きだったようです」とのこと。このマリンビーフ味、現在はパッケージの資料も残っていないのだそうです。ちょっとかわいそうですね……。

一度は販売休止になったものの、復活した商品も

復活したフレーバーの中で、一番代表的なものは「なっとう」味。今でこそ朝食の定番となっている納豆ですが、1993年の発売当初は納豆自体がまだ全国区で愛される食べ物ではなかったのだとか。特に関西では「嫌いな食べ物」にランクインするほどの嫌われようで(!)、当時としてはちょっぴり「キワモノ」的ラインナップだったそうです。初代「なっとう」味は1年ほどで販売を終えたのち、1996年に復刻。しかし、2代目も売れ行きは振るわず、再び販売中止に。

初代「なっとう」は1年足らずで販売休止に……(公式ポータルサイトより引用)

2代目までは香料を使用して納豆のフレーバーを作っていたそうですが、2003年に再々発売された3代目からは原料に本物の納豆を使い、ねばりけや香りなど、納豆本来のうまみを感じられるように改良したそう。そんな企業努力が実を結び、プロのパティシエたちが「どのうまい棒が一番おいしいか」を決めるテレビ番組でも1位に輝くほどの評価を獲得。しかし、なんとその時にはすでに終売が決まっていたそうで……。

2012年、満を持して4代目として再々々発売され、今や押しも押されもせぬロングセラーになりました。下積みが長かった分、今の輝きが眩しいですね……!

1982年に発売され、現在は終売となっている「ピザ」味も3回ほど終売・復刻を繰り返していたそうです。味の流行は時代によって変わっていくため、過去に終売となったフレーバーもお客さんからの強い要望があれば再販売を検討することもあるとのこと!もしかしたら子どもの頃に食べた“あの味”が再び味わえる日がやってくるかもしれませんね。

2021年現在、発売されているのは15種類

2021年3月現在、レギュラー発売されているフレーバーは全部で15種類。「とんかつソース」「サラミ」「チーズ」「テリヤキバーガー」「コーンポタージュ」「やさいサラダ」「めんたい」「たこ焼」「エビマヨネーズ」「牛タン塩」「なっとう」「シュガーラスク」「やきとり」「のり塩」「チョコレート」のラインナップです。

うまい棒の最新フレーバーは、ポテトのうまみと海苔の香りがたっぷりの「のり塩」味(2020年7月発売)

ちなみに、最も新しい「のり塩」味は、実に5年ぶりとなる新商品のレギュラー入りだったそうです。

他にも、ちょっぴり高級な「プレミアムうまい棒」シリーズでは「モッツァレラチーズ&カマンベールチーズ」「明太子」「和風ステーキ」の3種類が販売されています。

また、うまい棒には東北名物「牛タン塩」味や関西限定の「お好み焼」味、沖縄エリアでは「さとうきび」味など、地域限定のフレーバーも存在します。誰もが知っているうまい棒なら、お土産にもぴったりですよね。現在は新型コロナウイルスの影響もあり、販売を中止しているものもあるとのことですが、また落ち着いてお出かけできるようになったら、地域限定うまい棒を食べ歩く旅も楽しそう!

人気爆発のきっかけは「めんたい味」

手に取りやすくボリュームもあり、味もいろいろ。子どもに嬉しい要素がてんこ盛りの「うまい棒」の人気が磐石になったのは、「めんたい」味の発売による影響が大きいのだとか。

「めんたい」味が発売されたのは1982年。当時は全国的に見ると明太子よりもたらこの流通が多く、明太子は福岡県を中心に九州地方で食べられていた、いわば「ご当地グルメ」だったそう。株式会社やおきんの社員さんが九州に訪問した際に食べた明太子のおいしさに感動し、「こんな味のうまい棒を作りたい!」と考えて、ちょっぴり大人の味の「めんたい」味を開発したのだそうです。

公式ポータルサイトより引用

また、本物の明太子はピンク色ですが、「めんたい」味のパッケージは紫色。これは、可愛らしいイメージの強いピンクでは男の子たちが買いにくいのではないか?と当時の社員さんたちが考えたから。「みんなが手に取りやすいように……」との想いによって決まったカラーなんだそうです。

閑話休題 実食!うまい棒

ここで、現在販売されているうまい棒シリーズから、筆者が実際にスーパーとコンビニで購入したものを実食レビュー!筆者が食べたいだけではありません……!みなさんご存知の味も多いかと思いますが、しばしお付き合いくださいね。

めんたい味

ガツンとくる塩気と、ほんのりとした辛味がおいしい「めんたい」味。袋を開けた瞬間、「これこれ!」と懐かしい気持ちになりました。広報・田中さんもお気に入りの味だそう!

チーズ味

駄菓子とは思えないほどしっかりとしたチーズの風味を感じられる「チーズ」味。サクサクとした食感と、濃厚なチーズの味わいが後を引きます。大人としては(というほどのことでもありませんが)、砕いてサラダにトッピングしてもいいかも、なんて提案をしてみます。

サラミ味

この「サラミ」味ってなかなか危険なんですよね。どれもおいしいうまい棒ですが、個人的にサラミ味のお酒との相性のよさはダントツだと思います。スパイスっぽい複雑な香りが、その理由なのかも。

たこ焼味

ソースの香りが食欲をそそる「たこ焼」味!さくっとした食感はそのままに、たこ焼らしいソースのどろっと感があるのも再現力が高い!ちなみに、うまい棒のレギュラーシリーズで最も手間がかかっているのは、製造工程で味付けを二度繰り返すこの「たこ焼」味なんだそうですよ。田中さん曰く、「一番コスパのいいうまい棒かもしれません」とのことでした。

やさいサラダ味

しっかりガーリックが効いていて食べごたえがある「やさいサラダ」味。子どもの頃は、「サラダ」味を選べばなんだかちょっとお姉さんな感じがするのでは?なんて思っていたのを思い出しました。

コーンポタージュ味

まろやかで優しいコーンの味が嬉しい「コーンポタージュ」味。今回購入したフレーバーにがっつり系の味が多かったので、ほんわか優しい味わいに癒されました。

テリヤキバーガー味

甘辛いソースに、マヨネーズをイメージさせる軽い酸味と、まろやかさが感じられるこちら。このひと工夫で単なる「テリヤキ」ではなく「テリヤキバーガー」になっているのがすごい!

プレミアムうまい棒 和風ステーキ味

普通の「うまい棒」と比べると、少し大きめの「プレミアムうまい棒」。じゅわっと濃いステーキの旨味に、ピリッとわさびの辛味が鼻に抜ける大人味です。辛いもの好きの筆者はかなり気に入りましたが、小さいお子さんや辛味に弱い人は要注意かも?

プレミアムうまい棒 明太子味

「明太子」味と「めんたい味」を比べると、色は「明太子」のほうが淡くなっています。

「めんたいこパウダー使用」とあるだけに、表面に赤いつぶつぶが見えるのがリッチな感じ。辛いのかな?と思いきや、「和風ステーキ」味に比べると辛さは控えめで明太子の旨味が強く、お子さんもおいしく食べられそう!

なっとう味

個人的No.1の味!幼い頃、車酔いが酷かった筆者。家族旅行の際にSAで「なっとう」味のうまい棒を見つけ、さほど納豆が好きだったわけでもないのにどうしても食べたくなりました。

「においの強い納豆はやめておいたほうが……」とやんわり止める母を振り切り食べてみると、まさかのおいしさにびっくり!あまりに騒ぐものだから、止めていたはずの母も「じゃあ1本……」と食べ、「おいしい~!」と大騒ぎし、結局納豆が苦手だったはずの父までパクパク食べて、あっという間にお土産用のパックが空になってしまいました。おかげで車に酔うこともなく、楽しく旅行に行けたのを覚えています。

今回の取材で3度の販売終了を乗りこえていると知り、とてもうれしく思いました。大人になった今でも、お店で見かけると買ってしまう味です。

新商品はいつ生まれる?

子どもの頃から慣れ親しんだ人が多く、老若男女を問わず愛されている「うまい棒」。新商品はどのように開発されているのでしょうか?田中さんによると、新商品の開発は常に行われているものの、レギュラー商品の入れ替えは数年に1度のペースなのだそう。

うまい棒はフレーバーによってそれぞれ味付けに必要な原料が異なるため、種類を増やしすぎると原料や資材の確保が難しくなるそうです。また、現代は駄菓子屋さんが少なくなり、うまい棒の販売場所のメインはコンビニやスーパーに移り変わりました。多種多様な商品を扱うコンビニやスーパーでは、うまい棒を何十種類も並べるのは難しいという事情もあるそうです。

こういったさまざまな理由から、現在は生産の効率が良く陳列しやすい14~15種類をメインに据えているのです。

時代を反映させたパッケージデザインに注目するのも楽しい!

また、過去には時代の流行に沿ったパッケージデザインを考案することもあったそう。例えば、Jリーグが開幕した1994年に発売された「ちょいからパンチ」味には当時の人気サッカー選手をイメージさせるキャラクターを使っていたほか、韓流ブームが起こった2007年には韓国のチマチョゴリを着たキャラクターを描いた「ぶたキムチ」味を発売。うまい棒のパッケージは、子ども達が時事ネタを知る機会にもなっていたんだとか!

右端がサッカー仕様の「ちょいからパンチ」味(公式ポータルサイトより引用)

10円で買える幸せ……!進化し続けるうまい棒にこれからも目が離せない!

駄菓子屋さんからスーパー、コンビニへ。いつでも私たちの側にいてくれる「うまい棒」には、並々ならぬ企業の努力とこだわりが詰まっていました。懐かしさを守りつつ進化し続けるうまい棒から、この先も目が離せそうにありません。みなさんもぜひ、色んな味を楽しんでみてくださいね。

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