賞味期限をすぎても大丈夫?みその保存期間と腐敗の見分け方

日本の食事に欠かせない調味料、みそ。発酵食品であることから古来より保存食としても重宝されてきました。そんな長期保存が可能なみそですが、気付いたら賞味期限が切れていたなんてことはありませんか?今回はみその保存期間と腐敗の見分け方について解説します。

目次

賞味期限を過ぎたら捨てるべき?

賞味期限というのは食品を「美味しく食べられる期間」のこと。賞味期限が切れたからといってすぐに傷み始めるので捨てたほうがいい、ということはありません。
特にみそには大量の塩が使われているため、雑菌のえさである水分が少なく、長期保存するには理想的な環境といえます。

ただし、賞味期限を過ぎる=食べるのに適したベストな期間が過ぎる、ともいえ、みその色や風味に変化がでてきます。
さらに保存環境が悪ければ過発酵・品質劣化状態となり、美味しく感じなかったり、食べると身体に害を及ぼしたりする可能性も。

そうならないよう、そしてみそを正しく美味しく頂けるよう、基本的には開封して空気に触れたみそは2ヶ月程度で食べ切ることをおすすめします。

なお、以下のようなみそは賞味期限関わらず、食べるのをやめましょう。
•モコモコとしたカビがびっしりと生えている
•甘みがなく、すっぱく感じられる

より詳しく、以下にて解説します!

発酵し続けるみその状態変化

みそは発酵食品。みそとして完成し、商品となってからも発酵し続けます。
この発酵を早め、風味に変化を生じさせてしまうのが高い温度と湿度。未開封でも発酵は続くので、この点には気をつけて保存しましょう。(※)

また、気をつけないといけないのは「発酵」しているのか、「品質劣化」が起こっているのかを見極める必要があるということ。品質劣化が起こっている場合、食べると身体に害を及ぼすこともあります。
ここではみそにおける「発酵」と「品質劣化」の違いもあわせてお伝えします。

※市販の味噌はスーパーでは常温で販売されていますが、回転が早く、また賞味期限までは風味が変わるほどの変化はないため問題ありません。

発酵している場合

・見た目:メイラード反応と呼ばれる現象が起こり、段々とみそ全体が黒くなっていきます。
・風味:元々の味がより濃くなり、深みが出てくるといわれています。これを美味しいと感じるか、個性的すぎる味と感じるかは個人差があるでしょう。

品質劣化している場合

・見た目:みそ表面や容器に分厚いモコモコとしたカビが生えます。カビの色は白や青。これらは空気中の雑菌や、濡れたお玉などでみそをすくった際についた水分が原因です。

また、みその表面など、空気に触れた部分が酸化して焦げ茶色に褐変することも。この部分は風味が劣るので取り除くようにしましょう。

・風味:酸味や渋みが出てきます。これらは塩分濃度が低いためにみそ中で雑菌が育ってしまったことが原因と考えられます。
みそ中の塩の比率が少ない白味噌や、材料の配合がうまくできていない手作り味噌によく見られる現象です。
これらのような品質劣化による見た目や味の異変を感じるような状態のみそは食べるのをやめておきましょう。

長持ちするかどうかは保存環境次第!

正しい知識を持ってみそを上手に発酵・手入れすれば賞味期限が過ぎたとしても問題なく食べることができます。世の中には10年発酵熟成させるみそもあるほど。

しかし、長く発酵させればさせるほど風味は深みを持って独特になりますし、品質劣化についても気にかけないといけません。自信が無い方は賞味期限前後に食べ切ることをおすすめします。

また、たとえ賞味期限内であっても保存環境次第では発酵が進みすぎてしまい、おいしく感じられなくなってしまうことも。
ベストな状態でみそをできるだけ長く楽しむために、以下のように環境を整えましょう。

風味をそのまま!みそを長持ちさせるポイント

開封後はラップを表面に被せてから蓋をする

容器を開封すると、そこから酸化が進んで風味が損なわれる原因となります。商品についている薄紙やラップをピタッと空気に触れている面に被せ、なるべく空気には触れさせないようにしましょう。

冷蔵庫または冷凍庫で保存

みその発酵は温度や湿気によっても進みます。ベストな状態で長くいただくには5〜8℃の冷蔵庫や、冷凍庫で保存しましょう。
みそは塩分、糖分が多く含まれているので冷凍庫に入れても完全には凍らず、少し硬くはなりますが解凍の必要なくお料理に使えます。手作りみそをたくさん頂いてしまい、冷蔵庫のスペースを大量に占めてしまう、なんて時は冷凍庫を利用した保存も良いでしょう。

みそはスーパーでは常温で売られているのに...と思われる方もいるかと思いますが、一回開封したみそは外の空気中の雑菌に触れたり、おたまについていた雑菌に触れたり、と様々な雑菌にふれてしまっているため、雑菌の繁殖を防ぐためにも温度の低い保存環境がベストなのです。

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カビ?腐敗?困った時の対処法

熟成まで長い時間を経るみそ。どうしても「これはカビ?!」「腐っているのかな……」と不安になる見た目になってしまうことがありますよね。
前述で触れたような発酵が進んだり品質劣化したりするだけではない、その他の変化についても解説します。

上に醤油のようなものが溜まっている

みその発酵が進むとみその上に黒い醤油のような液体が溜まることがあります。
これは「たまり」で、発酵熟成されたことで旨味エキスがみその上に現れている状態です。
重しをして発酵熟成させている手作りみそによく見られます。

この場合、みその品質には問題はなく、液は捨てずにみそと混ぜ込めばOK。この液体はみその旨味が凝縮されたものなので、捨てるのはむしろ勿体無いんです!お刺身を食べる際に使ったりドレッシングにしたり、お醤油のような使い方で頂いても良いですね。

表面に白いカビのようなものが発生

「カビ!?」とついついびっくりしてしまいますが、みそにつく白い粉状のものは産膜酵母と呼ばれる物質で、カビではなく、また、身体にも害はありません。塩分濃度が高い場所でも育つ酵母で、梅干しの表面につく白い粉もこの仲間です。
ただ、どうしてもカビのようで見た目も悪いですしみその風味を損なわせるものでもあるので、産膜酵母とその周辺5mm程度のみそをスプーンなどですくうのが良いでしょう。その後、表面をならせば問題なく引き続きみそを楽しんで頂けます。

また、毒性をもつ白カビを産膜酵母だと勘違いし、手入れを怠ると白カビの繁殖が進みますので気をつけてください。簡単な見分け方は「モコモコとしており厚みを持つかどうか」です。
白カビに限らず、カビが生えやすいのは「塩分が低い(減塩タイプのものや白味噌)」「調味料が配合されている(出汁入りのものなど)」ものです。気になる方はみその原料も見るようにしましょう。

味噌をしっかり保存して美味しく食べよう

みその見た目、風味から発酵や劣化について判断する方法をお伝えしました。よく使用する食品だからこそ、みその特徴や保存方法に気をかけて最後まで美味しく頂きましょう。

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