ジャガイモの芽に要注意!毒の危険性と正しい処理方法を解説

長い間放置しておくと生えてくるジャガイモの芽。そんなジャガイモの芽には毒があるといわれていますが、この毒とはいったいどのようなものなのでしょうか。また体にどんな影響があるのでしょう。今回はジャガイモの芽について詳しくご紹介します。

目次

ジャガイモの芽はなぜ危険?

ジャガイモの芽がなぜ危険なのかというと、そこには毒が含まれているから。
一体どのような毒なのでしょうか。詳しく解説していきましょう。

天然毒ソラニン・チャコニンが含まれている

ジャガイモの芽には天然の毒である「ソラニン」や「チャコニン」が多く含まれています。
ソラニン・チャコニンはグリコアルカロイドという成分の一種。双方ともに一定量以上摂取することで腹痛などの食中毒症状を引き起こすといわれています。
ソラニンについては危険性が高いことはよく知られていますが、実は近年の研究でチャコニンの方が毒性が強いことも分かっています。

芽が出やすい環境は?

ジャガイモの芽は高温で明るい場所でよく育ちます。
10度ぐらいの涼しい場所、冷蔵庫の野菜室などで保存し、芽が出るのを防ぎましょう。

ただし、芽が出ていない状態がいいジャガイモでもソラニンとチャコニンを微量含んでいます。多くが皮付近にあるので、念のためジャガイモは皮を剥いて食べたほうがいいでしょう。

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茹でても加熱しても毒の成分はなくならない

ソラニンとチャコニンは水につけたり茹でたりすることで成分が水に溶け出します。
これによって中毒発症の可能性は多少減りますが、実際には完全になくなるわけではありません。

また、加熱によって毒性が無くならない点も注意が必要です。
かなりの高温で揚げ・焼きしても毒の成分は6割程度残るという実験結果もあります。
「芽が少し出ていても加熱調理したら大丈夫」とは思わず、しっかりと取りのぞくことが大事です。

参照:ソラニンやチャコニンの加熱調理による影響(農林水産省)

芽が出たジャガイモはどうすればいい?

芽が出ているからといってジャガイモ全体にソラニンとチャコニンが浸透しているわけではありません。
芽とその周辺のジャガイモの身をえぐりとる下処理をきちんとすれば問題なく食べられますよ。

緑化したジャガイモは芽が出ていなくても要注意!

ただし、芽の発芽だけでなく、皮部分が緑色に変色しているジャガイモは要注意!
ジャガイモの緑化かは家庭菜園で育った未熟なジャガイモや、店頭や保存場所で光に当たりすぎたジャガイモによく見られる現象でこの状態になると皮付近に通常より多くソラニンとチャコニンを含んでいます。
皮をうすく剥いたとしも食中毒発症の危険性があるので、食べるのをやめるか、ぶ厚めに皮を剥くようにしましょう。

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ジャガイモの芽を食べてしまうと...

ジャガイモの芽を食べるのは危険!ソラニンやチャコニンは危険!ということは知っていても、具体的な症状や危険性について知っている人は少ないのではないでしょうか。
以下ではソラニンとチャコニンによる食中毒について詳しく解説します。

症状

ジャガイモによる食中毒の報告は、令和2年までの過去10年間で18件、患者数285名、死亡者0名となっています。中には小学校で生徒たちが栽培したジャガイモの調理による、集団食中毒報告も。
引き起こされる症状としては吐き気やおう吐、腹痛、下痢、頭痛、めまいなど
重症の場合は無気力、衰弱、錯乱などの神経症状や視覚障害も引き起こされ、最悪の場合は死に至ることもあります。この10年、死亡例はありませんが過去には子どもの死亡例も報告されています。

参照:過去10年間の有毒植物による食中毒発生状況(平成23年〜令和2年)(厚生労働省)
ソラニンやチャコニンによる健康被害(農林水産省)

摂取量と発症までの時間

体重1kgあたり1mg以上のソラニンやチャコニンを摂取すると中毒症状が出る可能性があります。

例えば体重が50kgの人だと50mg。
芽がきちんと処理されていないジャガイモや緑化したジャガイモだとソラニンとチャコニンを多く含んでいるので、1〜2個でも症状が出る場合があります。

致死量は体重1kgあたりソラニン、チャコニン3〜6mgとされ、体重50kgの場合だと150〜300mg。
含まれるソラニン・チャコニンの濃度はジャガイモによって違うので一概にはいえませんが、状態が非常に悪いジャガイモであれば数個で致死量に至ってしまう可能性もあるでしょう。

小学生であれば体重1 kgあたり0.42 mgのソラニン・チャコニンで中毒を発症する可能性があるとされています。
実際、報告されているジャガイモによる食中毒例は子どもの事例が多いので、お子さんにジャガイモを食べさせる際は特に芽の処理には気をつけましょう。

食べてから発症するまでの時間は30分程度〜数日と幅があるようです。
万が一芽が出ていた、もしくは状態が悪いジャガイモを食べてしまった際、数日は体調を気にするようにしましょう。

参照:食品中の天然毒素「ソラニン」や「チャコニン」に関する情報(農林水産省)

もしも食べてしまったときの対処法

危険性を知らずに芽を処理しないで食べてしまった際、体に上記のような異変を感じたらすぐに病院に行くようにしましょう。
ソラニンやチャコニンの解毒剤はなく、また自身で対応できる毒ではありません。
病院では胃洗浄などの処置を行うことになるようです。

参考:財団法人 日本中毒情報センター 保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報

根本までしっかり!芽を取り除くときのコツ

芽を取り除く際のポイントは主に2つ。
・根本まで完全に取り除く
・出始めの芽も取り除く

ソラニンやチャコニンは芽の根元に特に多く存在します。
表面に出ている部分だけではなく、しっかりと根元、そしてその周辺のジャガイモの身もえぐり取りましょう。
また、芽がまだ小さいからといって毒性の成分が含まれないというわけではありません。小さな出始めの芽もしっかり取り除きましょう。

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ピーラーでの取り除き方

ピーラーで芽を取り除くときは、ピーラー横の輪になっている突起を使います。

芽の根元付近に突起を突き刺し、しっかりと芽周辺のジャガイモの身ごとかき出しましょう。

包丁での取り除き方

包丁で芽を取り除くときは、包丁の柄近くの角を使います。
柄の少し上を持ち、包丁の角を芽の根元付近に刺します。

刺さったら包丁の角を回すようにして押し出し、芽周辺のジャガイモの身ごと芽をえぐり取ります。

ジャガイモは芽が出てしまっても大丈夫。正しく取り除いて食べよう!

色々な料理に使え、便利なジャガイモ。
使うまで日が経ち芽が出てしまった際は要注意です。
食中毒症状を防ぐため、しっかりと芽は取りのぞいた後、美味しく頂きましょう。

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