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ほうれん草にはどんな栄養があるの?調理による成分量の変化とおすすめの食べ方
緑黄色野菜であるほうれん草は身体にいいイメージがありますが、どのような栄養があるのでしょうか?また「冷凍ほうれん草は栄養が少ない」と聞いたことがある方もいるかもしれません。今回はほうれん草に含まれる栄養や期待できる効果、冷凍による栄養成分の変化などについて管理栄養士が解説します。

ほうれん草に含まれる栄養素と期待できる効果とは

ほうれん草には鉄やビタミンCをはじめ、さまざまな栄養素が含まれます。生のほうれん草100gあたりの含有量は以下の通りです。

出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
これらの栄養素の働きや期待される効果について詳しく解説します。
カリウム
カリウムはナトリウムを排出する働きがあるため、塩分を摂りすぎたときの調整に役立ちます。塩分の摂りすぎが原因となる高血圧の予防だけでなく、むくみの対策としても効果が期待できます。
カリウムは野菜に多く含まれるため、野菜不足の方は意識して摂りたい栄養素です。
鉄
鉄は鉄欠乏性貧血の予防に欠かせません。貧血になると、動悸、息切れ、疲労感、頭痛といった症状を引き起こすことがあります。
とくに女性は月経があり鉄が不足しやすいため、積極的に摂りましょう。
ビタミンA
ビタミンAは目の正常な機能の維持や、皮膚や粘膜の健康に必要な栄養素です。
またビタミンAの中でも、野菜に含まれるβ-カロテンには抗酸化作用があり、老化、がん、免疫機能低下の原因となる活性酸素を取り除く働きがあります。
ビタミンC
ビタミンCは、コラーゲンを生成するのに必要であるほか、ビタミンAと同様に抗酸化作用があります。
また植物性の食品に含まれる鉄の吸収を助ける働きもあり、ほうれん草に含まれる鉄を効率よく摂取するのに役立ちます。
冬のほうれん草はビタミンCが豊富!

ほうれん草は、旬である冬に収穫されるものの方がビタミンCが豊富です。夏に収穫されるものと比べると、なんと3倍もの差があります。

出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
これは生育時の温度が関係しており、低温で育つことにより栄養成分量が増加すると考えられています。
冬のほうれん草は、寒さに耐えられるよう甘みも増すため、おいしく食べられる点もうれしいですね。旬の時季はたくさん取り入れるとよいでしょう。
※参照:文部科学省ホームページ「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」,厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」,農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター「ホウレンソウの栽培条件が栄養価に及ぼす影響」
▼旬のほうれん草は栄養も増える!?
冬のほうれん草は甘みを多く蓄えており、ビタミンCの量も豊富です。旬のほうれん草の栄養について、管理栄養士の広田千尋さんに教えてもらいました。
冷凍のほうれん草は栄養がないの?

ほうれん草は冷凍することで栄養素がなくなったり、極端に減ってしまったりすることはありません。
市販の冷凍ほうれん草は一度加熱してから冷凍するため、加工の過程で水溶性のビタミンCやカリウムなどが流れ出て、栄養素の量は減っています。ですが、現在は急速冷凍することで栄養素が失われにくくなっており、冷凍による損失は心配しすぎなくてよいのです。
冷凍のほうれん草はアク抜きなど下処理の手間が省けて、簡単に使えるのが魅力です。積極的に活用して、ほうれん草を日々の食事に取り入れましょう。
▼ほうれん草の鮮度を保って冷凍するコツ
ほうれん草はいたむのが早い食材なので、すぐに使い切れないときは冷凍保存がおすすめです。おいしさが長持ちする冷凍保存のコツを紹介します。
ほうれん草の栄養素を効率的に摂るコツ
ほうれん草の栄養素をムダにせず、効率的に摂るコツをお伝えします。
電子レンジで調理する

茹でることで失われやすい栄養素をムダなく摂るには、電子レンジ調理がおすすめです。
ほうれん草に含まれるカリウムやビタミンCなどは、水に流れ出やすい「水溶性」です。茹でることですべての栄養素が流れ出るわけではありませんが、電子レンジで調理した方が流れ出にくくなります。
ただし、電子レンジ調理の場合でもアク抜きは必要です。水にさらす際は短時間を心がけるとよいでしょう。
▼ほうれん草のアク抜き方法はこちら
ほうれん草のアク成分である「シュウ酸」が残っていると、料理にえぐみをが出るだけでなく体内に結石が生じやすくなるリスクもあります。必ずアク抜きをして、美味しく安全にほうれん草をいただきましょう。
油と一緒に調理する

ほうれん草に含まれるビタミンAやビタミンDは脂溶性ビタミンといい、油と一緒に調理することで吸収率がアップします。
脂溶性ビタミンをムダなく摂りたいなら、脂質を含む肉や魚と一緒に調理したり、バターや油で炒めたりするとよいでしょう。
▼ほうれん草のゆで時間はどのくらい?
ほうれん草は火の通りが早いため、食感を活かしたい場合はゆで時間を短くするとシャキシャキになりますよ。ただし、アクやえぐみが残るので冷水にしっかりとさらすのを忘れずに。
ほうれん草の栄養素がムダなく摂れるおすすめレシピ

ほうれん草に含まれる栄養素を効率的に摂れるレシピを紹介します。
かきとほうれん草のバタポンソテー
ほうれん草に含まれる鉄は、ビタミンCや動物性たんぱく質と組み合わせることで吸収率が高まります。ほうれん草自体に含まれるビタミンCと、動物性たんぱく質を含むかきを組み合わせた、鉄補給にぴったりのメニューです。
ほうれん草とベーコンのバターソテー
バターとオリーブオイルを使い、ほうれん草に含まれるビタミンAやビタミンDの吸収率をアップ。食べやすい定番の味付けで、おいしく栄養が摂れますよ。
塩サバのトマト煮
塩サバとオリーブオイルに含まれる脂質で、ほうれん草のビタミンAやビタミンDの吸収を助けます。塩サバとオリーブオイルの脂質は不飽和脂肪酸といい、コレステロール値を下げる働きが期待でき、健康面が気になる方にもおすすめのメニューです。
ほうれん草は生でも冷凍でも栄養たっぷり!たくさん取り入れよう
ほうれん草はイメージ通り「栄養豊富」な野菜のひとつです。生でも冷凍でも、取り入れやすいものを積極的に活用して、ほうれん草の栄養をたっぷり摂ってくださいね。
▼ほうれん草は生食できるの?
ほうれん草には結石の原因になる「シュウ酸」が含まれているので生食はNG。炒め物に使う場合でも下茹でをして水にさらしましょう。
▼キッチンペーパーでほうれん草の鮮度をキープ!
キッチンペーパーを使うと、ほうれん草のみずみずしさを損なわずに冷蔵できます。料理に使うペースや、冷蔵庫の保存スペースを考えながら、冷凍と冷蔵を上手に使い分けましょう。