ほうれん草の茹で方とポイントを解説!電子レンジで加熱する方法も

みなさんは普段どのようにほうれん草を茹でていますか?加熱が足りないとえぐみを強く感じてしまう一方で、加熱しすぎると歯ごたえや色味が悪くなる上、水に溶けやすい栄養素が失われるデメリットも。そこで今回はほうれん草を茹でる際のポイントと、鍋・フライパン・電子レンジを使った茹で方を解説します。

目次

ほうれん草をおいしく茹でるコツ

ほうれん草の風味や栄養を活かして茹でるには、以下の2つのポイントを押さえることが大切です。

【ポイント1】茹で水に塩を入れる

「塩を入れるのは緑色を鮮やかにするため」といわれることもありますが、実際にはお湯の量に対して2%以上の塩を加えて茹でない限り、その効果は目で見てわかるほどではありません。茹で水に塩を入れる本来の理由は、ビタミンCを残すことと風味よく茹であげることにあります。

この2点について、もう少し詳しく解説します。

理由1. ビタミンCを残すため

ほうれん草にはビタミンCが豊富に含まれています。ビタミンCは水に溶けやすい性質がありますが、塩を添加して茹でると水へのビタミンCの流出を抑えられるといわれています。実際に塩を入れずに茹でたほうれん草と比べると、食塩水で茹でたほうれん草のほうがビタミンCの残存率が高かったという研究結果もあります(※)。

※参照:山崎清子ほか,2013年「NEW調理と理論」(同文書院)

理由2. 風味をよくするため

ほうれん草は調理する際にアク抜きをする必要がありますが、真水で茹でるよりも塩水で茹でた方が、ほうれん草特有のえぐみを感じにくくなるといわれています。

そもそもほうれん草のえぐみの原因となるのは「シュウ酸」というアクの成分です。塩そのものにシュウ酸の量を減らす効果はありませんが、塩に含まれるナトリウムなどが影響して、人にえぐみを感じにくくさせるのではないかと考えられています(※)。

※参照:和泉 眞喜子(2005).「食塩添加ゆでホウレンソウのえぐ味の感じ方とシュウ酸および無機成分含量との関連」『日本家政学会誌』56(1),15-21

【ポイント2】水に長時間さらさない

ほうれん草をおいしく茹でるために実践したい2つ目のコツは「水に長時間さらさないこと」です。その理由はほうれん草を水に漬けすぎると、水に溶けやすいビタミン・ミネラルなどの栄養が失われてしまうから。

また水にさらしすぎるとほうれん草が水っぽくなってしまい、風味が落ちるおそれもあります。洗ったり、茹でたりする工程はできるだけ手早く行い、必要以上に水にさらさないようにしましょう。

ほうれん草を茹でる前に確認!正しい洗い方は?

続いて、ほうれん草の洗い方についてご紹介します。泥や汚れは茹でる前にしっかり落としておきましょう。

1. 根元の先端を少しだけカットし、十字の切り込みを入れる

根元に切り込みを入れることで、根元の汚れが落ちやすくなり、火の通りもよくなります。根元が小さい場合は、一文字の切り込みでかまいません。

2. 茎と茎を広げながら、根元を流水で洗う

ほうれん草をボウルの中に入れ、水を流しながら根元をしっかりと洗います。茎が重なっている部分まで、手で広げながら洗いましょう。

3. 葉先はボウルの中で振り洗いする

ほうれん草の葉先側は、ボウルに溜めた水の中で振りながら洗います。洗い終わったら水気を切っておきましょう。

ほうれん草の基本の茹で方

それでは、実際にほうれん草を茹でていきましょう。まずは基本の鍋で茹でる方法を紹介します。

手順

1. ほうれん草は水で洗っておく。1束(約200g)のほうれん草に対しおよそ2リットルのお湯を沸かし、塩大さじ1/2を加える。沸騰させている間に、ボウルに氷水を用意する

お湯の量に対して、塩は0.25~0.5%の濃度になるように加えてください。また、ほうれん草を冷やすための水も用意しておきましょう。

2. ほうれん草の根元を30秒~1分茹で、葉先まで沈めてさらに1分~1分30秒ほど茹でる。茹で上がったらすぐに冷水につける

根元の方が火が通りにくいため、茹で時間を調整するために根元から茹でましょう。また冷水にさらして手早く冷ますことにより、余熱の影響で色が悪くなるのを防ぎます。

3. 水気を絞り、使いやすい長さに切る

冷めたら手で水気をしっかり絞り、使いやすいサイズにカットしましょう。

フライパンで茹でる場合

ほうれん草をフライパンで茹でたい場合も、鍋で茹でるときと同じ手順で行ってください。

なおフライパンの容量が少ない場合には、お湯の量は1リットルに減らし、塩は小さじ1ほど加えるように調整してくださいね。

電子レンジで加熱する場合

ほうれん草は電子レンジで加熱することもできますが、鍋やフライパンで茹でたほうれん草と比べて「シュウ酸」が残りやすく、えぐみも感じやすくなってしまいます。シュウ酸は結石の原因にもなり摂りすぎには注意したい成分なので、電子レンジで加熱した場合は水にさらす時間を少し長くしましょう。

電子レンジ加熱は、洗い物を少なくしたい・調理に時間があまりかけられない・少量だけ使いたい場合に便利ですが、ほうれん草に関しては鍋やフライパンで茹でる方がおすすめです。

手順

1. 1束(約200g)のほうれん草を洗い、水気を切らずにラップに包む

2. 耐熱皿に乗せ、600Wの電子レンジで2分加熱する

3. ラップを外し、ボウルに溜めた水につける(目安5分以上)

ラップを外す際は、やけどしないよう気を付けてください。ほうれん草は水にさらして、シュウ酸を取り除きます。電子レンジ加熱した場合は、5分以上を目安にさらすとよいでしょう。

4. 水気を絞り、使いやすい長さに切る

※参照:農林水産省「ほうれんそうのお浸しを電子レンジで調理したが、アクが強くえぐみを感じた。アクが気になる場合は、茹でた方がよいのか教えてください。」,松田康子,松本仲子(1999).「調理法の簡便化が食味に及ぼす影響-和え物,浸し物などについて」『日本調理科学会誌』32(1),37-44

▼気になる「シュウ酸」のデメリット
管理栄養士の藤倉詩織さんが解説します。

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ほうれん草はアク抜きをしてから調理するのが一般的です。このひと手間が必要な理由は、ほうれん草のアク成分「シュウ酸」を減らすことにあります。そこで今回はほうれん草のアク抜きの手順と、シュウ酸を摂るデメリットについて解説します。

レンジ加熱した際のおすすめの食べ方

電子レンジで加熱したほうれん草はアクが残りやすい分、食べたときにえぐみも感じやすくなります。加熱後にひと口食べてみて「えぐみが強い」と感じた場合は、以下のソテーやお浸しなど、しっかりとした味付けの料理に使うと食べやすくなりますよ。

ほうれん草とベーコンのバターソテー

ほうれん草、ベーコン(スライス)、にんにく、塩、○しょうゆ、○バター、○塩・こしょう、オリーブオイル

調理時間:15分

茹で方のコツを押さえて、料理をワンランク上の仕上がりに!

ほうれん草にはアクが多く含まれるため、「たっぷりの塩水で茹でる」のがおすすめです。洗い方や茹で時間などの細かいポイントも、おいしくほうれん草を茹でる上で重要なポイントになるため、ぜひ実践してみてくださいね。

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