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【管理栄養士が解説】いちごにアレルギーはある?かゆみなど気になる症状が出る理由
いちごを食べたとき、口の中や身体にかゆみが出たことはありませんか?かゆみの症状が出るとアレルギーを疑ってしまいますが、いちごにアレルギーはあるのでしょうか。この記事では、いちごを食べたときに気になる症状が出る理由について、管理栄養士が解説します。正しい知識をつけて適切に対処しましょう。
いちごを食べたときのかゆみはアレルギー?
いちごを食べたときに起きる口の中や身体のかゆみなどの症状は「口腔アレルギー症候群」または「仮性アレルゲン」によるものが考えられます。口腔アレルギー症候群はアレルギーのひとつですが、仮性アレルゲンはアレルギーとは異なります。
自分の場合はどちらに当てはまるのか、また別の原因が考えられるかどうかについては、医師の判断が必要です。自己判断は避け、気になる症状があるときは医療機関を受診してください。
アレルギーに関する診療科はアレルギー科、内科、耳鼻咽喉科などがあります。近くの医療機関で検査してもらえるかどうかは、事前に問い合わせるとよいでしょう。
口腔アレルギー症候群の原因と対処法
口腔アレルギー症候群とは、原因となる食べ物を摂取したときに口や喉のかゆみ、違和感といった症状を引き起こす食物アレルギーの一種です。
原因となる食べ物はいちごだけでなく、りんごやメロンといった果物、トマトなどの野菜も知られています。
診断には問診とあわせて、検査が行われる場合があります。検査には血液検査やprick-to-prick test(アレルギーが疑われる食品を用いた皮膚プリックテスト)、経口負荷試験(アレルギーが疑われる食品を摂取するなどして症状の有無を確認する検査)などがあり、必要に応じて行われます。
医療機関を受診する際は、どの食べ物を食べてどのような症状が出たかなど、メモを持参すると役立つでしょう。
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▼食物アレルギーにはどんなものがある?
食物アレルギーの多くは「即時型食物アレルギー」と呼ばれるタイプのものです。ほとんどの場合、原因食品を食べてから30分〜2時間ほどで症状があらわれます。「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」特定の食べ物を食べてから、30分〜4時間以内に運動すると症状が出ることが多いです。
アレルギーだった場合、いちごは避けるべき?
日本小児アレルギー学会の「食物アレルギー診療ガイドライン」によると、口腔アレルギー症候群の治療の基本は「原因食物の除去」となっています。
除去の程度は症状によって判断される場合もあり、すべての場合で全く食べられないというわけではありません。食べない方がよいか・どの程度なら食べてもよいかは医師の指示を仰いでください。
赤ちゃんや子どもに症状が出た場合
赤ちゃんや子どもの場合、初めて症状が出た場合は早めに医療機関を受診しましょう。その際は状況を詳しく伝えられるよう、食べたものや時間、症状などのメモや写真を持参してください。
口腔アレルギー症候群の場合は症状が軽い場合が多いといわれていますが、ぐったりしている、息苦しそうにしている、嘔吐、全身にじんましんが出ているなどの症状がみられる場合は急いで受診するようにしてください。これらのような強い症状が出た場合、迅速な対応が求められる場合があります。
※参照:一般社団法人日本アレルギー学会「患者さんに接する施設の方々のためのアレルギー疾患の手引き《2020年改訂版》」,日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン2016 ダイジェスト版」
アレルギー表示にいちごがないのはどうして?
アレルギー表示は食品表示法により定められた、特定の原材料を含んでいることを示すもので、容器包装された加工食品のパッケージに表示されています。卵や牛乳など7品目の食品に関しては表示が「義務」付けられており、大豆やバナナなど21品目の食品に関しては表示が「推奨」されています。
いちごはどちらにも該当していないため、現時点ではアレルギー表示に記載されていません。
加工食品にいちごが入っているかどうかを知るには、パッケージに表示された原材料名を確認する方法があります。ですが表示が省略される場合もあるため、必ず表示されているとは限りません。
いちごでアレルギー反応が出る方は、医師の判断による除去の程度を考えながら、いちごが入っている可能性のある食べ物については慎重に確認するようにしましょう。
アレルギーではない仮性アレルゲンの可能性もある
いちごにはサリチル酸化合物という物質が含まれるため、かゆみや蕁麻疹を引き起こすことがあります。
いちごなどの果物や野菜に含まれ、アレルギーに似た症状を引き起こす物質を仮性アレルゲン(薬理活性物質)といいます。アレルギーと症状は似ているものの、アレルギーとは違う仕組みで症状が引き起こされるため、アレルギーではありません。
サリチル酸化合物はいちごだけでなく、トマトやオレンジ、りんごなどにも含まれます。
仮性アレルゲンはアナフィラキシー(全身の発疹、呼吸困難、血圧低下など複数の症状が出る重篤な状態)という重い症状を起こすことは少ないといわれています。
仮性アレルゲンによるかゆみの場合は、一度にたくさん食べるのを避ける、また体調がすぐれないときは食べないようにするなどの対策をするとよいでしょう。
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いちごでかゆみが出る理由を知って適切に対処しよう
いちごでかゆみが出る原因は、口腔アレルギー症候群や仮性アレルゲンによるものなどが考えられます。どちらにせよ、気になる症状が続く場合は自己判断せず、医療機関を受診してくださいね。
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