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みりんがないときの代用法とは?身近な調味料の組み合わせと仕上がりの違いを検証【管理栄養士監修】
調理中に「みりん」がないと気づいたら、みなさんはどのように対処しますか?
みりんを切らしたからといって、わざわざ買いに行くのも面倒ですよね。
そんなときは、自宅にある身近な調味料でみりんを代用してみましょう。
今回の記事では「みりんの簡単な代用法と仕上がりの違い」について、管理栄養士が解説します。
みりんの代用になる調味料とは【ポイントは糖類とアルコール】
記事後半で詳しく解説しますが、みりん(本みりん)の調理効果は主に糖類とアルコールによるものだといえるのです。
そのため、みりんを切らしているときは「甘みのあるもの」と「アルコールを含むもの」を組み合わせて代用するのがおすすめです。
ここでは「本みりん」の代用になるアイデアを2つ紹介します。
・砂糖+清酒(日本酒)
・はちみつ+清酒(日本酒)
順番に解説します。
最も手軽な組み合わせ「砂糖+清酒(日本酒)」
本みりんの甘さを砂糖で、アルコール分を清酒で代用するイメージです。
清酒がない場合には、料理酒を使ってもかまいません。
しかし、料理酒には塩分が含まれているため、味見をしながら料理全体の味付けが濃くならないよう気をつけましょう。
材料(本みりん大さじ1の代用)
・砂糖…小さじ2(約6g)
・清酒(もしくは料理酒)…大さじ1(約15g)
※今回は糖質不使用の清酒を使用し、本みりんの甘さと近くなるように砂糖の量を調整しました。
一般的に調味料は1回の使用量が多くないため、料理の仕上がりに大きな影響はないと考えられますが、清酒自体に甘みがあるときは、甘みの強さにあわせて砂糖の量をやや控えるとよいでしょう。
代用みりん「砂糖+清酒(日本酒)」の作り方
砂糖と清酒(料理酒)をよく混ぜ合わせる。
「はちみつ+清酒(日本酒)」もおすすめ!
はちみつには、みりんの成分のひとつである「グルコース」という糖類が含まれています。
砂糖よりもコクが強いという特徴もあるため、より本みりんに近い風味に近づくでしょう。
ただし、はちみつは砂糖よりも甘みが強いため、砂糖で代用するときよりもはちみつの量は少なめにします。
砂糖小さじ2=約6gなのに対し、はちみつ小さじ1=約7gです。
はちみつは小さじ1よりやや控えめに調整すると、ちょうどよい甘さになります。
材料(本みりん大さじ1の代用)
・はちみつ…小さじ1/2強(約4g)
・清酒(もしくは料理酒)…大さじ1(約15g)
代用みりん「はちみつ+清酒(日本酒)」の作り方
はちみつと清酒(料理酒)をよく混ぜ合わせる。
【裏ワザ】清酒も料理酒もないときは「白ワイン」でも
清酒や料理酒も切らしている場合は、「砂糖(もしくははちみつ)と白ワイン」という組み合わせも。
しかし、白ワインには甘みや酸味が強いものもあるため注意しましょう。
できるだけクセが少なく、アルコール度数も14%前後のものを選ぶのがポイントです。
▼【関連記事】「料理酒がない!」時の代用レシピ
本みりんと代用品2種を比較!仕上がりの差は?
本みりんと代用した調味料で「鶏肉の照り焼き」を作り、実際に仕上がりを比べてみました。
今回は、本みりん(もしくは代用した調味料):しょうゆ:酒:水=1:1:1:1の割合で混ぜ合わせたもので味付けをしています。
「みりん」と「代用品」で作った照り焼き、見た目の違いは?
比較してみると、「本みりん」「砂糖+清酒」「はちみつ+清酒」それぞれで作った照り焼きには、見た目に大きな違いはありません。
砂糖やはちみつを使ったものでも、十分に美しい照りが生まれます。
特別に焦げやすかったり、かたくなったりすることもありませんでした。
「みりん」と「代用品」で作った照り焼き、食べて見た感想
食べてみると「砂糖+清酒」で作った照り焼きは、本みりんや「はちみつ+清酒」で作った照り焼きよりも後味にやや甘みが残るように感じます。
これは先に解説したように、糖類の違いが影響していると考えられます。
しかし、甘さの違いはほんのわずかで、実際に食べ比べてみないとわからないほど。
本みりんをほかの調味料で代用したからといって、味が劣ったり、独特な風味に変わってしまったりすることはなさそうです。
本みりんを切らしたときは、砂糖やはちみつ、清酒(料理酒)といった家にある調味料を組み合わせれば、十分に代用することができます。
代用法と合わせて知りたい!みりんとはどんな調味料?
みりんは、主にもち米や米麹(こうじ)に焼酎を原料として作られます。
もち米は一般的な米とは異なり、水分と糖分を多く含んでいます。
また、米麹にはアミラーゼと呼ばれる酵素が含まれており、これがもち米の糖分を分解し、アルコールを生成することでみりんが作られるのです。
みりんの調理効果はどんなもの?
みりんは砂糖と異なり数種類の糖類が含まれているため、料理に複雑でまろやかな甘みを足し、照りやツヤ、美しい焼き色をつける効果をもたらします。
さらに、みりんに含まれるアミノ酸や有機酸と呼ばれる成分が糖類と複雑に絡み合うと、料理にコクやうまみを生み出します。
そのほか、みりんは食材の臭み消しにも効果的です。
また、本みりんやみりんタイプ発酵調味料を使用すれば、アルコールによる調理効果も期待できます。
アルコールは食材に味を素早く均一にしみこませたり、煮崩れを防いだりするのに役立ちます。
ただしアルコールがほとんど含まれないみりん風調味料では、アルコールによる調理効果は期待できないため注意しましょう。
「みりん」3種類の表記ごとの違いは?【代用法と合わせて知りたい】
また、みりんのパッケージを見比べてみると、微妙な表記の違いに気が付きませんか?
・本みりん
・みりん風調味料
・みりんタイプ発酵調味料
これらの表記による違いはどのようなものなのでしょうか?
実は、みりんは、原料や作り方などによって大きく3種類に分けられるのです。
ここでは「本みりん」「みりん風調味料」「みりんタイプ発酵調味料」の特徴について解説します。
表記①「本みりん」
「本みりん」の原料は、蒸したもち米・米麹・焼酎もしくは醸造アルコールです。
これらを混ぜ合わせ60日ほど熟成させると、本みりんができあがります。
米麹の酵素がもち米のでんぷんやたんぱく質を分解し、糖類の「甘み」、アミノ酸の「うまみ」など、みりんに特徴的な風味を生み出します。
また、本みりんの製造にはアルコールが使用されているため、アルコール度数は約14%。
酒税法上では「酒類」に分類され、清酒やワインなどと同じ「酒類調味料」として料理に使われます。
表記②「みりん風調味料」
「みりん風調味料」は、アルコールをほとんど使わずに、風味を本みりんに近づけた調味料です。
液状にした水あめやブドウ糖などの糖類に、酸味料、うま味調味料などをブレンドして作られます。
アルコール度数は1%未満であるため酒類には分類されず、アルコール分を飛ばす「煮切り」の必要もありません。
本みりんよりもお手頃価格で手に入りやすいのもうれしいポイントです。
表記③「みりんタイプ発酵調味料」
「みりんタイプ発酵調味料」は、約2%の塩分が含まれるという特徴があります。
本みりんと同じようにアルコールが使われていますが、塩を加えて飲用できないようにしているため、酒類には分類されません。
みりんタイプ発酵調味料は塩分濃度が高いため、使うときには味付けに注意が必要です。
しょうゆや食塩の量を減らすなど、料理の味が濃くならないように調整してみましょう。
「みりん」は意外と簡単に代用可能!切れたら調味料を組み合わせて!
今回の記事では、「みりんの簡単な代用法と仕上がりの違い」について、管理栄養士が解説しました。
調理中にみりんがないことに気づいても、もう焦る必要はありませんね。
砂糖やはちみつと清酒(料理酒)を組み合わせれば、みりんに匹敵するほどおいしく、美しい料理ができあがります。
みりんを切らしてしまったときには、ぜひ今回紹介した代用法を試してみてくださいね!
▼「ポン酢がない!」ときの代用レシピはこちら
ポン酢しょうゆがないときの代用レシピ4つを実際に作って味の違いを比較してみました。
果たして、ポン酢に最も近い組み合わせはどれなのでしょうか?