「奨学金制度」の申請条件や受取金額は? 専門家が解説

高校や大学への進学を控えた子どもを持つ親が、気になることの一つである「お金」。毎年の学費はもちろん、一人暮らしをする場合の生活費など、準備はしてきたけれど、進学先によっては「足りない」ということもあるかもしれません。そんな時に活用できるのが「奨学金制度」です。自身も子育て中のママであるファイナンシャルプランナーの冨士野喜子さんに、奨学金制度の種類や内容について解説してもらいます。

目次

奨学金制度は2種類ある

奨学金制度とは、経済的理由で進学・修学が困難なものの、能力のある人に対して金銭の給付・貸与を行う制度です。高等学校(高校)、大学、専門学校など、各種学校に在学している(これからする予定も含む)生徒・学生が利用できます。

奨学金には「給付型」奨学金、「貸与型」奨学金の2種類があり、「給付型」には返済義務はありませんが、「貸与型」は返済義務が生じます。さらに「貸与型」の場合は、貸与された(借りた)お金に借入利息が付く「有利息」タイプと、利息が付かない「無利息」タイプがあります。「有利息」タイプの場合は、貸与されたお金より返済額が多くなってしまうのでご注意ください。

なお、奨学金の受け取り方法は、毎月定額が銀行口座に振り込まれる方法が一般的ですが、授業料が直接減額される場合などもあります。

申し込みは誰が行うの? 方法は??

奨学金の対象は親ではなく子ども本人のため、「貸与型」の場合の返済義務者はお子さんとなります。奨学事業の実施団体は、大学や地方公共団体、公益団体、医療関係機関などがあり、独立行政法人日本学生支援機構(以下、日本学生支援機構)の「平成28年度奨学事業に関する実態調査」によると、実施団体数が5,028団体、制度数はなんと1万1,204制度もあるといいます。そのうち給付型は約7割の7,907制度(日本学生支援機構は除く)。これらの奨学金を利用している人は約55万人、また日本学生支援機構の奨学金を利用している奨学生は約129万人となります。日本学生支援機構の奨学金利用者のみで考えても、2.7人に1人が利用してることになります。

申し込み時期はそれぞれ異なり、募集・出願期限が決まっています。申込時に提出する書類も異なるので、事前のリサーチが大切です。

日本学生支援機構の奨学金

ここでは日本学生支援機構の奨学金を例に、具体的に見ていきましょう。日本学生支援機構では「給付型」「貸与型(有利子)」「貸与型(無利子)」の奨学金制度があり、現在在学中の学校を通じて申し込みをします。

「給付型」の場合は、大学等へ進学する人が対象となり、生活保護世帯や住民税非課税世帯などの家庭の要件を満たすことと、学校からの推薦が必要になります。支給額は、通学形態(自宅、自宅外)と学校運営者(国立、私立)によって金額が異なりますが、自宅から国立大学に通う場合は月額2万円、自宅外の場合は月額3万円となります。

「貸与型」には、「第一種奨学金(無利息)」と「第二種奨学金(利息)」があり、2つを併用することも可能です。また、入学時の一時金に備える「入学時特別増額」や進学前に「予約採用(奨学金の貸与を約束する制度)」を受けることもできるので、奨学金を利用することがあらかじめ決まっている場合は、進学前に申し込みしておくと、早めに資金を確保することができます。ただし、お金は入学前ではなく入学後に貸与される点に注意が必要です。

それぞれ、申し込みには学力と家計(世帯の収入と人数)などの基準を満たしていることが要件となります。例えば、「第一種奨学金(無利息)」を申し込みする場合、世帯人数が4人で自宅外から国立大学へ通う時の家計基準(給与所得者)は、世帯年収747万円以内、「第二種奨学金(有利息)」の場合は、世帯年収1,143万円以内がおおよその目安となります。所得の証明のためには、源泉徴収票もしくは確定申告書が必要です。また、連帯保証人(原則、父母)と保証人(父母以外の4親等内の親族)が必要となるので、保証人の所得証明や書類の提出を求められます。ただし「機関保証」という方法で、保証機関に保証料を支払うことで、連帯保証人や保証人を立てなくても申し込みをすることができます。

貸与額は?

貸与額は、給付型と同様に通学形態と学校運営者によって異なり、例えば「第一種奨学金(無利子)」で自宅外の国立大学へ進学する場合は、月額2万円、3万円、4万円、5万1,000円から選ぶことができ、「第二種奨学金(有利子)」の場合は、月額2万円~12万円まで1万円刻みで貸与額を選ぶことができます(平成30年度以降入学生。私立大学の医・歯・薬・獣医学部を除く)。入学時特別増額は、10万円~50万円までで10万円刻みで金額を選ぶことができます。

奨学金の制度や申し込み方法、要件、金額についてイメージできましたか。奨学金についての話をきっかけに、将来のお金のやりくりについて、夢について、お子さん語り合ってみてくださいね。

※本記事で参考にしているデータは2018年9月10日時点のものです。

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