トイレットペーパー、関西はシングル好き? 原料や柔らかさの違いを解説

毎日あたり前のように使用するトイレットペーパー。購入するときは何にこだわっていますか。価格や香り、そしてシングルかダブルかは気にする人も多いと思いますが、その他にもいろいろな違いがあるのはご存知でしょうか。実は奥が深い、トイレットペーパーのトリビアをご紹介します。

目次

トイレットペーパーの起源

トイレットペーパーが日本で誕生したのは、下水道工事が本格化した昭和30年前後。この頃、トイレの様式が「汲み取り式」から「水洗式」へ、また「和式」から「洋式」へ変化していきました。その頃までは古紙が原料のちり紙や、パルプから作られた京花紙がトイレットペーパーの代わりに使われていましたが、トイレの様式の変化とともに新しいトイレに最適な専用紙をちり紙メーカーが作り始めたといいます。

トリビア(1) 色や柔らかさ、違いは原料にあり

普段使ってるトイレットペーパーに、真っ白なものと、グレーっぽい色のものがあることにはお気づきでしょうか。この色の違いは原材料が異なるため。白色度の高いトイレットペーパーの原料は、広葉樹や針葉樹の繊維を混ぜて作られたもの。「パルプ100%」と呼ばれ、紙質の柔らかさも特徴です。

対して、白色度が少し落ちるグレーっぽいトイレットペーパーの原材料は再生紙。白色OA紙などからなる上質古紙が使用されています。なおこのタイプのものは、パルプ100%の白いものに比べて安価に製造・販売することが可能ですが、紙質はやや硬くなります。

トリビア(2) IT化で原料集めに苦戦……再生紙トイレットペーパー

ドラッグストアもトイレットペーパーのPB商品を販売。こちらはスギ薬局の再生紙を使ったトイレットペーパー「Oasis」。右がシングル、左がダブル(各税抜360円)

2018年現在、トイレットペーパー市場では再生紙が原料となるトイレットペーパーが65%ほどを占めています。使用後に流すことになるトイレットペーパーはリサイクルがきかないため、再生紙を原料として使おうという啓もう活動が行われています。ですが、最近はIT化にともないペーパーレス化が進んでいることから紙の消費が少なくなっており、市場に出回る再生紙も減っているのが現状。メーカーは再生紙トイレットペーパーを作るための原材料集めに苦戦し始めているようです。

トリビア(3) 核家族化でトイレットペーパー市場が伸張

ここ40年ほどで台頭したシャワートイレ。メーカー各社はシャワートイレの普及初期頃、「用を足したあとにお尻を拭かなくなるため、トイレットペーパー市場が縮小するのでは」と懸念していたといいます。ですが、実はトイレットペーパーの市場は少しづつ伸びています。その理由は核家族化によりトイレ数が増加したことや、海外旅行客の増加によるホテル数の増加など。また水気を取る性能が優れているシャワートイレ専用のトイレットペーパーも開発されるなど、トイレットペーパー市場も環境の変化とともに少しづつ変化しています。

2018年12月発売予定のスギ薬局のシャワートイレ用商品

トリビア(4) シングルはダブルより価格が高いことも

スギ薬局とネピアのコラボレーション商品「スギネピ」は、シングル50m、ダブル25mがそれぞれ12ロール入っていずれも税抜338円

一般的に、トイレットペーパーのシングルは紙が厚いため、しっかりと拭きたい方に適しているとされています。対してダブルは、吸水性や柔らかさを重視する方向け。もともとはシングルしかなかったトイレットペーパーですが、より使い心地を良くするためにダブルが開発されました。紙は薄ければ薄いほど柔らかさを感じますが、薄いと破れやすくなるため、ダブルにして破れにくくしています。

「全国家庭用薄葉紙工業組合連合会」の調査によると、1回あたりに使うトイレットペーパーの長さは、シングルの場合で小便時89cm、大便時177cm。ダブルの場合は、小便時60cm、大便時で146cmという結果が出ています。シングルだからと言って、ダブルの2倍使うというわけではないようで、コンビニやオフィスなどでは長持ちするシングルの設置が多くなっています。

次に、シングルとダブルの価格のお話をします。皆さんは、長さ50mのシングルと長さ25mのダブル(25mの紙を2枚重ねるため、2枚の合計の長さは50m)では、同じ価格だと思いますか。

答えはNo! その理由は、シングルとダブルでの製造面での違いにあります。長さの合計が50m程度のトイレットペーパーを作る場合、ダブルは50mを半分にたたんで重ね、25mを巻けばいいのに対し(わかりやすいイメージです。工程は多少異なります)、シングルはそのまま50m分を巻かなければいけません。

そのため、同じブランドの商品だったとしても、長さ50mのシングルと25mのダブルでは、同じ長さの紙を使っていたとしても、シングルのほうが価格が高くなる場合があります。ちなみに、海外では3枚重ねや4枚・5枚重ねのトイレットペーパーが主流の国もあるのだとか。使用感がとっても気になりますね。

トリビア(5) 関西圏はシングル、中京・関東圏はダブル

シングルとダブルの使用率については地域差があるそう。あるトイレットペーパーメーカーによると、店頭販売数の調査で「関西圏はシングルの比率が高く、中京・関東圏はダブルの比率が高い」というデータがあるといいます。実は同調査で関西圏の人は低価格の再生紙より、価格が上のパルプを好む傾向があることも分かっています。「紙の質にこだわる分、シングルで」といった選択の結果なのかもしれません。

知れば知るほど深いトイレットペーパーの世界。これからはいつもと違った目線で商品選びをしてみてはいかがでしょうか。

取材協力: スギ薬局

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