「うま味」って、結局どういうこと?「うま味調味料」を作っている味の素株式会社に聞いてみた!

「うま味」という言葉はよく使われますが、甘味や酸味などのようにはっきりとしたイメージがつかみにくいですよね。そこで、今回はうま味調味料製造のパイオニアで、いわば「うま味のプロ」が集う味の素株式会社の門田さんに、「うま味」やうま味調味料についてたっぷり教えてもらいました!

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目次

「うま味」っていう言葉、どんな時に使う?

「このたまご、お高いだけあってうま味が強いね」
「あのお店のうどんは昆布出汁のうま味が効いてる」

……おいしさの表現としてよく使われる「うま味」。
なんの変哲もない料理でも、「うま味たっぷり」なんてレビューを見るとつい食べたくなってしまいますよね。
主に出汁の効いた料理や、素材そのものの味が濃い食べ物に使われることが多い印象です。

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うま味といえば「出汁」をイメージする人が多いのでは

反対に、
「うま味たっぷりのショートケーキ」
「メロンのうま味を感じるメロンパン」

といった表現はあまり聞きません。
なんとなく、甘いものには使わないイメージがあるかもしれませんね。

では実際のところ「うま味」とは何かと聞かれると困ってしまいませんか?
そもそもうま味って、何!?

そんな素朴な疑問を解消すべく、うま味調味料として「味の素®」を発売している味の素株式会社に「うま味」とはなにか?について聞いてみました!

果たして「うま味」の正体は判明するのでしょうか!?

「うま味」の意味をまずは考えてみる

味の素株式会社さんにお話を伺う前に、自分の中での「うま味」像を確認しておきたいところ。

でも、いざ考えるとうま味って何……!?
いままで数多の「うま味」を語ってきましたが、こうもおぼろげな知識しかなかったとは……。
いやはや、モノ書きの端くれとして恥ずかしい限りです。

筆者としては、「うま味」は“出汁や野菜やきのこなどの具材そのものの味を表現するもの”という認識。
でも、ひとことで!といわれると、「うま味はうま味」と言いたくなる気持ちもあります。
ひとまず「おいしい成分」としておこうかなぁ。

「うま味」や「うま味調味料」って一体何?中の人に聞いてみた

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答えていただいたのは味の素株式会社の門田さん(上)、筆者(右下)、編集部・青柳(左下)

まず伺って驚いたのが、ひとくちに“うまみ”といっても、表記のしかたで意味が変わってしまうということ。

「旨味」や「旨み」は、「おいしさ」を表しますが、「うま味」は、食べ物の「うま味成分」の味のことを表していて、おいしさそのものではないものの、「おいしさの大切な要素」となる味を表す言葉だそうなんです。

そのうま味成分の中で、代表的なのがグルタミン酸です。

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提供:味の素株式会社/各種食品のグルタミン酸濃度

グルタミン酸が特に多く含まれている食べ物は昆布、トマト・ブロッコリーといった野菜類、チーズ・アンチョビといった発酵食品。さらに味噌などの発酵調味料にも含まれています。

代表的なうま味成分のグルタミン酸は天然の食材に含まれているものなんですね。
では、「うま味」について少し分かったところで、「うま味調味料」について聞いてみたいと思います。

そもそも、うま味調味料としておなじみの「味の素®」は何から作られているのでしょう?


……ずばりその答えは「さとうきび」!
さとうきびと聞くと甘いのでは?と思えますが、実際にはそうではありません。

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提供:味の素株式会社

まずさとうきびを絞って糖蜜を取り「発酵菌」を加えます。このとき、「発酵菌」が糖分を取り込んで作り出すのが「グルタミン酸」。
このグルタミン酸こそが「うま味」の正体です

そして、これを料理に使いやすくするために粉状の「グルタミン酸ナトリウム」にすれば、うま味調味料「味の素®」のできあがり!
ちなみに日本で販売されている「味の素®」はさとうきびが主な原料ですが、海外で販売されているものは、キャッサバ芋(タピオカの原料)やとうもろこしのでんぷんからも作られているのだそう。

できあがった「味の素®」には糖質は含まれていませんので、糖質制限中の人も安心して使えますね。

「化学調味料」って呼ばれることもあるけど、体に悪いの?

手軽に使えておいしいうま味調味料ですが、時に「化学調味料」と呼ばれて敬遠されることも。
なぜ「化学調味料」と呼ばれることがあるのでしょうか?

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実は、1962年(昭和37年)放送の人気料理番組NHK『きょうの料理』で「味の素®」が使われることがありました。
この時、公共放送ということで商品の宣伝にならないよう、商品名を出さずに伝えるために「化学調味料」という呼び名が誕生しました。
当時は近代化で化学全盛の時代、名前に「化学」を付けることで最先端の便利な調味料、といった意味合いを示していたとか。

つまりこの「化学調味料」という呼び名、もともとはポジティブな意味を持つ名前だったんですね。
しかし、その後1970年代に入ると、公害などが社会問題となり、「化学」に対してネガティブなイメージを持つ人が増えていきました。

時代の流れとともにポジティブなネーミングが風評被害の原因の一つになっていたとは……。

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今となっては「化学」がつくとなんとなく危険な気がしますが、名前の由来や作る工程を知れば、思い込みだということに気づくはず

一方で、日本だけでなく国連関連機関(JECFA:FAO/WHOの合同食品添加物専門家委員会)でも「味の素®」の安全性が証明されており、赤ちゃんが食べても安全であることが認められています。

そして知っておきたいのが「グルタミン酸」はとっても身近な存在であるということ。

グルタミン酸というとカタカナの響きなどもあって「ちょっと聞きなれない、危ないもの」という印象を持つ方がいますが、その正体は私たちの体内でも作ることができるアミノ酸の一種。
生命維持に必要なため、身体の中で日々作られ、重要な働きをしています。

それゆえ私たち人間の体にはもちろん、地球上に存在するほぼすべての生物が、体内にグルタミン酸を持っています。
なんと、体重50kgの人なら体内に約1kgのグルタミン酸が体の中に存在しているのだとか!

赤ちゃんが生まれて初めて口にする、母乳にもたくさんに含まれているそうですよ。

驚きの効果!「味の素®」で実験してみた

うま味調味料の成分や安全性は理解できたところですが、それでもやはり最初から疑問に思っていた「うま味」ってどういう表現で伝えればいいのか・・・正直まだ何だかわからない。

甘さは砂糖を舐めればピンとくるけれど、「味の素®」をそのまま舐めても「うま味」はイマイチ表し難いものです。
どうしても「うま味」を体感したい!ということで、門田さんがおもしろい実験を教えてくれました。

実験その1.りんごジュース+「味の素®」であの味に!?

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<準備するもの>
①青りんご(またはりんご)果汁100%ジュース 小さじ2
②水 小さじ4
③「味の素®」 1~2ふり

<実験手順>
まずは青りんごジュース小さじ2を、水小さじ4で薄める。

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薄めたりんごジュースは、「味のぼんやりしたりんごジュース」といった印象。
目を閉じると遥か彼方で手を振っているりんごの幻影が浮かびました……。

次に、薄めたりんごジュースに「味の素®」をひとふり加えると……

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な、な、なんと、トマトジュースの味に!!
トマトの青臭さはないため、フルーツトマトをジュースにしたような、ちょっと高級なトマトの味を感じます。
さらっとしているのでなんだか不思議な感覚ですが、薄めたりんごジュースよりずっとおいしく感じるので普通に飲めてしまいます。

門田さんによると、りんごの味は甘味と酸味、それに少しの苦味のバランスでできていて、ここに、うま味が加わることで、グルタミン酸が豊富なトマトの味に近いバランスになるのだとか。

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甘味や酸味のバランスが似ているからこそできる、まさに味のマジック!
この差が「うま味」によるものなのか!と、ちょっと感動してしまいました。

実験その2.薄〜い“味噌湯”がひとふりで大変身!

次は味噌を使った実験です。

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<準備するもの>
①味噌(出汁入りでないもの) 小さじ1(6g)
②お湯 150ml
③「味の素®」1~2ふり


<実験手順>
まずは味噌をお湯で溶いてそのまま飲む。

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色も薄く、失敗したお味噌汁といった雰囲気です

お湯で溶いただけの“味噌湯”はまさに「味噌の味がするお湯」といった印象で水っぽく、味も薄く感じます。
はっきりいっておいしくはありません

次に、先ほどの“味噌湯”に「味の素®」をひとふりして飲んでみます。

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すると、意外や意外!普段の「お味噌汁」にぐっと近づきました。
ぼやけていた味が引き締まり、上品なお味噌汁といった印象に!

実はこの実験で使った味噌の割合は、通常のお味噌汁の約半分。「味の素®」を加えた後でも、通常の40%ほどの減塩になっていました。
味噌の量をかなり減らしているのに「多少薄味かな?」と感じる程度で、濃い味付けの料理と合わせるならこのくらい控えめな方がありがたいかも、と思うほど。

うま味調味料には香りがなく、出汁のうま味成分の味でもある「うま味」だけを加えることができるので、季節の野菜など、具材の味を楽しみたいお味噌汁にもぴったりなんだとか!「うま味」を加えて食材を煮ておいて、食卓でかつお節をトッピングして、手軽にだしの香りを楽しむのもおすすめだそうです。

余談ですが、実験中なんだか編集担当の青柳が静かだな……?と思ったら、おかわりを作っているところでした。

うま味調味料の活用法!

「うま味」の実力を実感できたところで、実際の料理で使えるうま味調味料の活用法を門田さんに教えていただきました。

素材の香り・風味を活かす

うま味調味料は、その名の通り「うま味」だけをプラスすることができる調味料。

それ自体には香りがないので和洋中どんな料理にも合い、味をマイルドにまとめたり、素材本来の香りや風味を活かしたりすることができます。

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例えば、ピーマンの調味やゴーヤの塩もみの代わりなど、クセのある野菜料理に使用すると苦味を和らげておいしさをアップさせることができます!
実際に、あるメディアの編集長は、大嫌いだったはずのピーマンが「味の素®」を使ったレシピで食べられるようになったこともあるのだとか!

また、枝豆をゆでるときに、うま味調味料をゆでるお湯に加えると、枝豆本来の甘みが引き立っておいしくゆであがるそうですよ。
他にも魚の下味にプラスすると臭みやわらいで魚のおいしさを引き立てる効果があるそう。

料理の減塩にぴったり!

先ほどの実験で、うま味調味料をプラスすることで、みその量を控えめにしても十分においしくいただけたのでこれには納得!

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実際にすまし汁を用いた評価では、うま味調味料を活用すると、約30%減塩しても味の好ましさは変わらない、というデータもあるそうです。

うま味調味料を活用することで、味はさらにおいしく、塩分はぐっと控えめにすることができそうですね。

おすすめは仕上げのひとふり

たくさんの活用法があるうま味調味料ですが、門田さんのおすすめは「仕上げのひとふり」だそう。

多くの方が抱えるお悩み、料理を作ったものの、なんか味が決まらない… そんなときは、うま味調味料をちょっとプラスしてみましょう。そうすることで味がバランスよく整うことが多いそうですよ。

その他、おすすめは意外にもサーモンの刺身。「味の素®」をかけておくだけでサーモンの味わいがより一層増すのだそう!

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取材の最後に、「味の素®︎」を使うときのワンポイントアドバイスを教えていただきました。

<「味の素®︎」を使う時のワンポイントアドバイス>

  • 減塩を意識したいときは、塩分を含む調味料の量をいつもより控えめにして、「味の素®」をふってみてください。うま味がアップして、控えめな味付けでもおいしくなることを実感していただけると思います。
  • 「味の素®」はたくさん加えれば加えるほど、よりおいしくなるというものではありません。まずは少量(1~2ふり)から試してみて、料理やお好みによって適量を見つけてみてください。


実は100年以上前から愛されていた「うま味調味料」

さて、今回の実験でも度々登場した「味の素®」ですが、じつは世界で初めて作られた「うま味調味料」でもあります。
「味の素®」が発売されたのはなんと明治時代末期。およそ110年ほど前になりますが、当時は画期的な調味料だったこともあり、「どんな調味料なのか」、「安全性はどうなのか」、「どのように使うのか」を紹介するために、味の素社が発行した一冊の料理本がありました。
その名も『おいしく召上がれ!』。

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提供:味の素株式会社/「おいしく召上れ!」プロジェクト

中身を覗いてみると、「味の素®」を使った料理の研究や当時から著名人が愛用していたことなどが記載されています。そして驚くべきことに、今でいう「時短」や「節約」といったテーマについても提案されていました。
現在「味の素®」のサイトではこちらの冊子の内容を掲載したコンテンツを配信中。

【おいしく召上れ!】の特集ページへ

現在までに、さまざまな料理家さんたちによる復刻レシピも続々と公開されています。
意外な活用法がきっと見つかるはず!

「うま味」を活用してヘルシー&おいしいを楽しもう

今回驚いたのは、うま味調味料の活用法の幅広さ!
うま味調味料を使えばクセのある食材はまろやかに、ぼやけた味はくっきりと、おいしさを底上げしてくれます。

「うま味」に関するお話をたっぷり伺った今の筆者的見解では、「うま味とはおいしさを構成する成分の一つであり、食材のおいしさを引き立てる存在でもある」、という表現がしっくり来るように思っています。素材の味を損なわず、おいしさをぐっと底上げしてくれる、そんな存在が「うま味」。
頼れる調味料のひとつとして、これからもお世話になります~!

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