MCTオイルがダイエットに効くってホント?注意点とおすすめの使い方を管理栄養士が解説

健康に関心のある人たちの間で話題となっているMCTオイル。いったいどのような食品で、どのように生活に取り入れればよいのか、ご存知でしょうか?そこで今回は、MCTオイルの特徴と、使うときの注意点、おすすめの取り入れ方を管理栄養士が解説します。

目次

MCTオイルは「燃焼されやすい油」

MCTオイルとは、中鎖脂肪酸とよばれる脂肪酸だけで作られている油のことです。MCTオイルという名前は、「Medium Chain Triglycerides(中鎖脂肪酸トリアシルグリセリド)」の頭文字からきています。

中鎖脂肪酸は、身体の中で燃焼されやすいという点が特徴です。中鎖脂肪酸は身体のエネルギー源になりやすく、食後の中性脂肪を増やしにくくするといわれています。

また、摂り続けると体脂肪がつきにくくなるのではないか、ともいわれており、ダイエットや健康を意識する人たちの間で注目を集めています。

MCTオイルはほかの食用油よりも中鎖脂肪酸を効率よく摂れるため、高い健康効果が期待されているといえるでしょう。

中鎖脂肪酸とそのほかの脂肪酸のちがいは?

脂肪酸とは、脂肪を構成する成分のことです。脂肪酸は、炭素と水素と酸素から構成されており、炭素原子が鎖のようにつながった構造になっています。

脂肪酸にはいくつかの分類方法があり、そのうちのひとつが、炭素数のちがいによる分類です。以下の表のように、脂肪酸は「短鎖脂肪酸」「中鎖脂肪酸」「長鎖脂肪酸」の3つに分けられます。

短鎖脂肪酸とは、炭素数が6個以下の脂肪酸のことで、牛乳や乳製品などに含まれています。また、炭素が8~12個つながっている脂肪酸を中鎖脂肪酸、14個以上の脂肪酸を長鎖脂肪酸とよびます。

一般的に、私たちの身の回りの油脂の主成分は、ほとんどが長鎖脂肪酸です。しかし、MCTオイルには、長鎖脂肪酸よりも分子が短い中鎖脂肪酸しか含まれていません。

MCTオイルとココナッツオイルのちがい

MCTオイルと同じように、ダイエットや健康によいと注目されている食用油のひとつが「ココナッツオイル」です。ココナッツオイルにも中鎖脂肪酸が含まれているため、その健康効果が期待されています。この2つのオイルには、どのようなちがいがあるのでしょうか。

1つ目のちがいは、中鎖脂肪酸の含有量です。MCTオイルは中鎖脂肪酸のみで構成されているのに対し、ココナッツオイルの中鎖脂肪酸の含有量は約6割となっています。残りの約4割は、ほとんどが長鎖脂肪酸からできています。より中鎖脂肪酸を摂りたいという方には、MCTオイルのほうが適しているでしょう。

2つ目のちがいは、見た目と風味です。MCTオイルは味がせず、ほとんど匂いもしない透明の液体です。一方で、ココナッツオイルはココナッツの甘い香りを持つのが一般的で、温度によって形状が変わります。温度が低いと白い固体、温度が高まると徐々に透明な液体に変化します。

また、のちほど詳しく解説しますが、MCTオイルは加熱調理に向きません。そのため、炒め物や煮込み料理を作るときの調理油として使いたいという場合には、MCTオイルではなくココナッツオイルがおすすめです。しかし、MCTオイルもココナッツオイルも揚げ油としては使用できないため、気をつけましょう。

MCTオイルを使うときの注意点

ここから、MCTオイルを食事に取り入れる際に気をつけてほしいポイントを紹介します。

食べすぎによるカロリー過多とお腹の不調に注意

MCTオイルは、健康によい効果が期待できるとはいえ、食用油のひとつです。油は1gあたり9kcalと、カロリーが高いことが特徴です。

今までの食事にMCTオイルを追加するだけだと、かえって摂取カロリーが増えてしまうおそれがあります。カロリーの摂りすぎを防ぐためにも、MCTオイルは普段使う油と置き換えるイメージで使うとよいでしょう。

また、MCTオイルの摂りすぎは、下痢や腹痛の原因となることもあります。初めて使うときは少量にし、徐々に増やしていくのがおすすめです。 1日小さじ1杯程度から始め、多くても大さじ1杯までを目安にするとよいでしょう。

加熱せず、そのまま食べる

MCTオイルは沸点が低いため、加熱して温度が高くなると、白い煙が立ちます。炒め油や揚げ油として使うなど、MCTオイルを直接加熱するような調理法は避けましょう。

MCTオイルは基本的に、料理や飲み物にそのままかけて食べるのがおすすめです。完成した炒め物や揚げ物に回しかけたり、お菓子の生地に練り込んでから加熱する、などの方法でも取り入れることができます。

直接加熱しないように気をつけながら、お好みの方法でMCTオイルを食事に取り入れてみてくださいね。

発泡ポリスチレン製容器には入れない

カップ麵や惣菜などを入れるのに使われる発泡ポリスチレン製の容器は、食用油を混ぜると破損したり、変形したりするおそれがあります。実際に、MCTオイルをカップ麺に混ぜたところ、容器が壊れ、中身が漏れ出てしまったという事故も起こっています。

やけどやケガなどを防ぐためにも、MCTオイルを加えたい場合には、容器の中身を別の皿に取り出してから加えるようにしましょう。

※参照:独立行政法人国民生活センター発泡ポリスチレン製容器にMCTオイルやえごま油等を加えるのはやめましょう-容器が変質・破損するおそれがあります-

MCTオイルのおすすめの使い方

MCTオイル自体には味がないため、どのような料理にも合わせやすいのがうれしいポイントです。

たとえば、定番はコーヒーに入れる方法です。コーヒーの風味を損なわず、MCTオイルを摂ることができます。もちろんコーヒー以外の飲み物と混ぜ合わせても、おいしくいただけます。

また、毎日のように食べる料理にMCTオイルをかける習慣をつけるのもよいでしょう。「毎朝食べるヨーグルトに混ぜる」などと、あらかじめ決めておくと、MCTオイルを毎日の食事に取り入れやすくなるでしょう。そのほかにも、MCTオイルはサラダにかけるドレッシングやマヨネーズなどの調味料に混ぜてもおいしくいただけます。

また、現在ではMCTオイル入りの商品も販売されてるため、活用してみるのも手軽でおすすめです。

ただ、先ほど紹介したように、MCTオイルをいつもの食事に追加して食べるだけでは、ダイエットの効果はあまり期待できません。普段使う炒め油の量を控えたり、揚げ物を食べる機会を減らしたりするなどの工夫をしながら、MCTオイルを食事に取り入れてみてくださいね。

MCTオイルをかしこく使ってダイエットや健康に役立てよう

中鎖脂肪酸をムダなく摂れるMCTオイルは、適切に食事に取り入れれば、健康に役立つ効果が期待できます。

しかし、摂りすぎは身体へ負担をかける場合もあるため、普段食べている油の一部と置き換えるイメージで、上手に使ってみましょう。

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