自転車保険、入るべき? ーー賠償責任に備えて加入義務を課す自治体が増加中

自転車を利用中に事故を起こし、相手にけがをさせてしまった場合には、賠償責任が発生します。過去には数千万円近い賠償金が発生したことも。事故への備えはもちろん、賠償責任もカバーするのが自転車保険です。具体的にはどのような補償があるのでしょうか。内容や加入する際のポイントについてファイナンシャルプランナー(FP)が伝えます。

目次

自転車保険加入が義務化する理由

自転車事故の高額賠償事例では、相手が意識不明の寝たきり状態となったことで、なんと賠償金が9,521万円になったケースもあります。このような状況を踏まえ、自転車事故の被害者救済と加害者の経済的負担の軽減を目的として、「自転車保険」への加入を義務化する自治体が増えています。なお、自治体が義務化している「自転車保険」とは、相手に対する賠償責任の補償がある保険の事を指しています。

加入義務を課す自治体としては、石川県金沢市、神奈川県相模原市、埼玉県、京都府、愛知県名古屋市、大阪府、滋賀県、兵庫県、鹿児島県です。また、努力義務を課す自治体は、群馬県、東京都、千葉県、静岡市、愛知県、鳥取県、徳島県、福岡県、熊本県などがあります(加入義務・努力義務ともに2018年9月現在)。住まいがなくても、その地域で自転車を利用する際は、保険加入義務が発生することもあります。

まずは加入している保険をチェック

自転車保険以外の保険に、同等の賠償責任補償が付いているケースも

賠償責任に関しては、実は新たに保険に加入しなくても既に補償を備えられている人もいます。

例えば、お子さんのいる方なら「子どもがお店の物を壊した時のために」などの理由で加入されている「個人賠償責任保険」(保険会社によっては「日常生活賠償」という名称の場合も)です。その他、自動車保険や火災保険、傷害保険などに特約(オプション)として付けられていたり、共済に付帯していたりすることも。自転車事故に限らず、飼い犬が歩行中の人を噛んでけがをさせた、駐車中の自動車にボールをぶつけてしまい窓ガラスを割ってしまった、マンションで水漏れを起こし階下の人に迷惑をかけた、なども個人賠償責任の補償対象となります。

保険の対象となる人は、同居の親族と未婚の別居の子となっています。それゆえ、個人賠償責任保険は一家で1加入で大丈夫です。家族が加入している保険の内容を今一度チェックしてみましょう。

補償を手厚くするなら、自転車保険への加入がおすすめ

自転車運転時のけがや示談交渉サービスが自転車保険加入のメリット

相手への補償だけでなく、自分がけがをした時の入院費や通院費、手術代も保険でまかないたいという場合は、「自転車保険」に別途加入することをおすすめします。

会社によって補償内容は様々で、自転車利用中の事故だけを補償するものもあれば、自転車利用中以外の事故でのけがを補償するタイプの保険もあります。夫婦や家族で加入することで、1人ずつ加入するよりは割安になることもあります。もし家族で自転車を利用される方が多い場合は、夫婦型や家族型も検討してみましょう。

そして、自転車保険に加入した際に助かるのが「示談交渉サービス」です。加害者になった時も、被害者になった時も、保険会社が相手との間に入って示談交渉をしてくれるサービスです。自転車保険ではない保険のオプションでの個人賠償責任特約への加入でも、示談交渉サービスが付いているものもありますが、ごくわずかです。自転車保険の場合は、ほとんどこの示談交渉サービスが付いています。

示談交渉は、事故が起きた際にとても頼りになる

さらに、自転車保険の中には「弁護士費用」の補償が付いている保険もあります。弁護士への相談費用や訴訟になった時の費用をまかなってもらえます。このように、補償を手厚くしたいなら「自転車保険」を検討してみてください。

どんな補償を選ぶべき?賢い保険の選び方

加入保険の特約か、自転車保険に加入するかの2択に

自転車事故での賠償責任に備える保険としては、「特約(オプション)」か「自転車保険」かという選択になります。賠償責任だけ備える場合は、オプションで加入した方が保険料は安くなることが多いので、自動車保険や火災保険、お持ちのクレジットカードに付帯するのが良いと思います。賠償責任の補償額は、今までの事例などから判断して2億円あれば充分だと言えます。

自転車を利用する頻度が高い場合やお子さんには、「自転車保険」の加入を検討してみても良いでしょう。本人型の場合、保険料は年間5,000円程度です。ただし、お子さんの場合は学校などで「傷害保険」に加入され、自転車事故の場合でも保険がおりることがあります。補償の重複や、事故の際の請求漏れがないようにしましょう。

生命保険に加入されている人は、けがでの入院や手術の場合も保障対象となっているはずです。不安が先立ち「何に加入しようか? 」と検討する前に、加入している保険の内容を整理し、「何が足りないか? 」をチェックすることから始めませんか。

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