鶏むね肉を柔らかくする方法6種類を比較検証! 塩麴、舞茸、マヨネーズ…どれがベスト?

【管理栄養士が解説】鶏もも肉と比べてパサパサしてかたい食感というイメージがある鶏むね肉。もも肉よりもお手頃価格なものの、食感が好みでなく購入しないという方も多いかもしれません。そんな鶏胸肉ですが、実は、家にある材料と少しの手間で柔らかくなります。今回は一般的に「鶏胸肉を柔らかくする」といわれている食材を使って、どれが一番ベストか比較してみました!

目次

鶏むね肉と鳥もも肉、なにが違う?

鶏むね肉は脂質が少なくタンパク質が多い、淡白な味わいの部分

“むね肉”は鶏の手羽を取り除いた胸の部分です。もも肉と比べると脂質は半分以下でエネルギー量も低く、タンパク質が多いのが特徴。鶏もも肉はよく運動する部位のため、肉質がしっかりとしていてコクがありますが、鶏むね肉は色が白く、淡白な味わいです。

価格は鶏むね肉の方がお手頃

鶏胸肉

鶏もも肉に比べると鶏むね肉は100gあたりで30〜40円ほど安いことが多く、お手頃です。さっぱりとした味わいのため、揚げ物や炒め物などで上手に料理すれば、鶏もも肉よりも好みという人も多いかもしれません。ただし、加熱し過ぎるとパサパサとした食感になりやすく、煮込み料理にはあまり向いていません。

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鶏むね肉を柔らかくする方法 6パターン

ヘルシーでお値段も手頃な鶏むね肉を、簡単にしっとりおいしく料理できたら嬉しいですよね。マヨネーズを揉み込む、塩麴に漬けるなど巷にはいろいろな方法が出回っていますが、果たしてどの方法がベストなのでしょうか?

今回は料理の前のちょっとした下処理で、どのくらい鶏むね肉を柔らかくすることができるか、6つの方法で試してみました。

柔らかくするための材料6つ

肉を柔らかくする効果があるといわれている、以下の6種類の食材に鶏むね肉をそれぞれ漬け込み、同じように照り焼きを作ります。

試したもの

  • マヨネーズ
  • 砂糖水
  • 重曹
  • 舞茸
  • ヨーグルト
  • 塩麹

比較方法

肉の切り方や焼き方など、できるだけ条件を同じにして比較をします。

  1. 鶏むね肉を同じ大きさ(ひとくち大)に切る
  2. ポリ袋に入れ、1〜6の材料をそれぞれ揉み込む
  3. 1時間程度、冷蔵庫におく
  4. 肉のまわりに付いた液などを軽くぬぐって片栗粉をまぶす
  5. フライパンで焼き、最後に味付けする(100gの鶏むね肉に対し、醤油小さじ1、みりん小さじ1、酒小さじ1)

今回は筆者の主催する料理教室の参加メンバーで試し、試食してその結果をまとめました。参加してくれたのは、毎日料理を作るお母さんと、小学生の子どもたち。「本当に柔らかくなっているのかなぁ〜」「見た目はあまり変わらないけど……」「舞茸が気になる!」と大盛り上がりです。参加者の意見も交えながら、6つの食材とその効果について紹介します!

実際にやってみた!柔らかさの結果は?

※★5が満点です

【1】マヨネーズ 柔らかくジューシーな味わいに

方法:鶏むね肉100gに、マヨネーズ小さじ1、塩ひとつまみを揉み込む。

判定!

  • お手軽度:★★★★★
  • 柔らか度:★★★★☆

感想

ふんわりとした柔らかい食感で、ジューシーさもある味わいに感じました。常備している家庭が多いマヨネーズは、冷蔵庫から取り出してちょっと絞りだすだけでOKという手軽さも魅力です。

柔らかくなったのは、マヨネーズの原料に秘密アリ。マヨネーズは卵・油・酢からできています。酢は肉の保水効果を高める働きがあること、また油が肉の表面をコーティングすることで、加熱した際に水分が飛びにくいことから、マヨネーズに漬け込むと柔らかくなると考えられます。

【2】砂糖水 柔らかさは少し劣るがパサつきが抑えられた

方法:鶏むね肉100gに、砂糖1g、塩1g、水大さじ1を揉み込む

判定!

  • お手軽度:★★★★★
  • 柔らか度:★★★☆☆

感想

単純に「柔らかさ」という面では他のものより少し劣りますが、しっとりとして、ぷりっとした食感です。鶏むね肉のパサつきが苦手という場合はこの方法もおすすめ。砂糖は常温で保存でき、日持ちもしてあまり切らすことのない調味料なので、覚えておくと便利ですね。

しっとりとした食感になったのは、砂糖水に漬け込むことで、肉が水分を吸い水分量が上がったためと考えられます。砂糖には水分を保つ効果があること、またたんぱく質が固まるのを遅らせる効果があることから、パサつきやすい鶏むね肉もしっとり調理できるのでしょう。

【3】重曹 ナゲットのような食感に

方法:鶏むね肉100gに、重曹小さじ1/6、水大さじ1、塩1gを揉み込む

判定!

  • お手軽度:★★★★☆
  • 柔らか度:★★★☆☆

感想

肉の繊維質を感じることなく歯が入り、柔らかいのですが、「ちょっと違和感……」という感想の多かった重曹。「ファストフード店のチキンナゲットみたい!」とみんなが納得した、そんな柔らかさです。あまり身近でない重曹を使うため、お手軽度は少し低くつけました。

重曹の炭酸水素ナトリウムという成分は、水に溶けるとアルカリ性を示します。このアルカリ性の液体が繊維を柔らかくする効果を発揮することで、柔らかく調理ができたのだと考えられます。ただし、重曹の量が多過ぎると味が悪くなるので加え過ぎには注意が必要です。

※必ず食用の重曹をご使用ください。

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【4】舞茸 柔らかくなり、うま味も感じる

方法:鶏むね肉100gに、舞茸みじん切り10g、塩1gを揉み込む

判定!

  • お手軽度:★★★★☆
  • 柔らか度:★★★★★

感想

噛む力が弱くなっている人でも食べやすそう!と感じるほど、柔らかな食感になりました。舞茸の香りが肉に移って、うま味も増している印象です。刻む手間がかかることが少しお手軽度の低い理由ですが、単純に柔らかさという面ではこの方法が一番人気でした。

柔らかい食感になったのは、舞茸に多く含まれる「プロアテーゼ」といわれる酵素が肉を柔らかくするのに働いたからだと思われます。今回は漬け込んだ時に使用した舞茸は拭き取りましたが、漬け込んだ舞茸を加熱してソースなどにするのもおすすめです。

【5】ヨーグルト 少し繊維質が残るが柔らかい調理の下ごしらえにも

方法:鶏むね肉100gにヨーグルト大さじ1、塩1gを揉み込む

判定!

  • お手軽度:★★★★★
  • 柔らか度:★★★☆☆

感想

すっと歯が入り、何もせず調理したものより明らかに柔らかくなっているものの、少し繊維質を感じる焼き上がりになりました。カレー店で食べるタンドリーチキンを思い出すような味わいです。

柔らかくなったのは、ヨーグルトの乳酸菌が関わっていると考えれられます。今回は調理する際に周りについたヨーグルトを落としましたが、カレー粉と共に漬け込んでそのまま焼いてタンドリーチキンにするのもおすすめです。

【6】塩麹 味も食感も一番おいしいという結果に

方法:鶏むね肉100gに塩麹小さじ2を漬け込む

判定!

  • お手軽度:★★★★★
  • 柔らか度:★★★★★

感想

しっとりと柔らかいけれど、肉らしい歯ごたえも少し残っていて、おいしさを感じる焼き上がりに。塩麹のうま味が加わり、他のものよりも奥行きのある味わいになりました。「味も食感も一番おいしい!」と言った人が一番多かったのがこの方法でした。

発酵食品である塩麹。塩麹に含まれる酵素が肉を柔らかくすると考えられます。また、塩麹で漬け込むとうま味が加わるという利点も。下味付けにもなるので、そのまま調理できて便利です。

結論「塩麴が一番おすすめ」

今回の比較で最も好評だったのは塩麹を使うという方法。柔らかさもうま味も増し、そのうえ簡単にできました。ただし、料理により別の方法が合う場合もあるので、今回の結果を参考にぜひお選びください。

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材料(2~3人分)

  • 鶏むね肉 1枚(約300g)
  • 塩麹 大さじ2
  • しょうゆ 小さじ1
  • 生姜 1片
  • たまご 1個
  • 片栗粉 大さじ5
  • 揚げ油 適量

作り方

1. 鶏むね肉を食べやすい大きさに切る。生姜をすりおろす。ポリ袋に入れ、塩麹としょうゆ、生姜を加えて揉み込み、1時間以上おく。

2. 卵を割り入れ、よく揉む。片栗粉を加え、全体に行き渡るようにさらに揉む(ベタベタしていても大丈夫)。

3. 油を170度程度に熱し、きつね色になるまで鶏むね肉を揚げる。

パサつきやすい鶏むね肉が簡単に柔らかくなる方法を紹介しました。今回試したどの方法も鶏むね肉を柔らかくしましたが、食感や味わいは少しずつ違いがあります。手軽さや作る料理に合わせて、ベストな方法を選んで活用してみてくださいね!

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